社内用語・概念を整理する「ユーザー辞書」は役立つ:システム部門Q&A(27)(2/3 ページ)
本連載の第9回では、情報検索系システム活用の効果や運用を誤ったときの危険性といった全体的なことを述べ、その中でユーザー辞書に触れた。今回は、ユーザー辞書に焦点を当てて、その概要や有効な使い方などを説明する。
ユーザー辞書の概要
ユーザー辞書を単なるファイル説明書や項目説明書にしておくのはもったいないのです。ファイルや項目に関する多様な情報を相互に参照できる機能を持たせると、ユーザーにとって便利なツールになります。
筆者はレガシー環境のときに初歩的なものを構築したのですが、それなりに好評でした。その後、職務が変わり、フォローしていないのですが、オープン系ではプルダウンメニューや右クリックなどの操作が容易になりましたので、さらに便利なツールになると思います。ここでは、実現できそうな機能も加えて説明します。
ユーザー辞書の基本的な機能を、以下の図1に示します。ファイルと項目について似たような構成になっています。
項目一覧表と項目の特定
「得意先」「トクイサキ」「tokui」など、項目名称の一部を指定すれば、それを含む項目名(得意先名称、得意先区分、上得意など)の一覧表を表示します。その一覧表から選択することにより、項目名が特定できるのです。
- 項目名には、「tokui」のような内部名称、「得意先コード」などの外部名称、略称などがあります。それらのどれで検索してもよいことにします
- 「顧客」や「相手先」など類似語でも検索できるようにする
- 表示では、内部名称、外部名称以外に、1行で表示できる程度の簡単な説明文(「1行解説」という)も表示する
- 得意先には、得意先コード、得意先名称、得意先略称など多数の類似項目がある。それらを知りたいこともあるし、得意先コードだけを知れば、ほかは命名基準に従っていれば類推できることもある。全項目表示/代表項目表示の切り替えができるようにしておくことが重要だ
●項目が特定すると、次の機能が行える
項目解説
1行解説では説明できない事項を表示します。ここで重要なことは、システムで必要な事項以外に、利用者にとって必要な事項を、業務に即した表現で説明することです。質問への回答などにより、随時更新しておくのがよいでしょう。
マスターファイルの内容表示
この項目が「得意先」のようなマスターファイルの主キー項目であれば、さらに項目の値や範囲を指定することにより、データの抽出や表示をすることができます。
- 得意先コードの指定だけでなく、得意先名称の一部を与えることにより指定することができる
- 得意先が特定できれば、その得意先に関する商談報告などの各種文書ファイルの検索ができる
ファイル一覧表とファイルの特定
項目一覧表と同じような操作でもできますが、項目名を特定することにより、その項目を持つファイルの一覧表を表示させることができます。表示内容は、項目一覧表と同様です。
●ファイルを特定すると、次の機能が行える
項目一覧表
このファイルが持つ項目の一覧表(上掲)が表示される。
検索・抽出処理
このファイルについて、単純な検索・集計ファイルを作成することができる。
- 1ファイルを対象としたSQLのselect文を作り出して実行すればよい
過去類似処理の修正実行
特定したファイルを主入力とする過去の登録処理のプログラム一覧表を表示し特定すると、そのプログラムコードが表示されるので、それを適宜修正して実行することができる。
- これらの登録は、実行したときに登録するかどうかを判断させることもできるが、あらかじめ典型的な処理のスケルトンを提供して、穴埋め方式や選択方式で実行させることもできる
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