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顧客の知見を利用する提案技術──D/Pプロフェッショナル企画提案方法論−C/P(4)(1/2 ページ)

システム提案などの提案営業は、顧客を前にした提案の場こそが主戦場だ。その最前線で役立つディスカッション・プロポーザルという技術とはどのようなものだろうか?

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ディスカッション・プロポーザル(D/P)とは

 前回「企画提案の“知見”を組織で拡充する『プロセス』」では、コンサルティング・プロモーション方法論のプロセス、およびその中で使われる技術であるプロポーザル・レビュー会議について解説した。今回は、顧客との真剣勝負する技術であるディスカッション・プロポーザル(D/P)について述べる。

 D/Pは、顧客側の意思決定者と1〜2時間のディスカッションによって、両者にとっての最善の落とし所を決め、これに向けて相手を落とす(合意形成する)技術である。具体的には、「提案仮説の拡充」「合意形成」「提案の受託」を行うものである。

ディスカッション・プロポーザルの流れ

 D/Pのモデル的な流れは、次のようなものである。

*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***

(1)あいさつ・導入 

 よほど確信が持てる場合を除いて、D/Pに臨むに当たっては何種類かの提案仮説を頭にたたき込んでおかねばならない。しかしD/Pの間中、何種類もの提案仮説を抱えたままでは話にならない。そこで重要な確認事項は、この段階で早めに聞いてしまい、最初の提案仮説の絞り込みを行い、その後のディスカッションの効率を上げる。

(2)要件確認 

 最初は顧客に話をしてもらいながら徐々にディスカッションをコントロールし、準備している提案仮説に基づいて、「顧客の意思」「顧客社内外の重要な環境認識」を得て、提案仮説の絞り込みと拡充を行い、KI(キー・イシュー)の確認を行う。

 KIを解決する可能性のある事例の紹介を行い、顧客と共同で意味解釈し、提案仮説の絞り込みと拡充を行ったうえで、IL(イノベーション・ロジック)とシステムビジョンの想定を行う。

(3)ビジョン提示 

 簡単な資料などを用いて、ILとともにシステムビジョンを提示する。要件確認までに準備した資料と異なる場合は、口頭で補足を行うかホワイトボードに記述を行う。

(4)反論と切り返し 

 この時点でシステムビジョンは、あくまでも「絵に描いたもち」である。顧客もこれを感じて、「システムビジョン」と「現状」の差である「課題」に気付き、自然に反論を口にする。反論が出るのは、システムビジョンを受け入れたからこそ「課題」に気付き、これを口にするのである。これは、顧客の方から課題を教えてくれる、ある意味願ってもない瞬間である。顧客から反論があまり出ない場合は、こちらから「このまますんなりと実現するとは思えません。実現のための課題は何でしょうか」と課題を積極的に聞き、顧客の持つ知見を引き出すのである。

 表面的には反論に聞こえる「課題」を積極的に聞き、しっかりと控えて帰るが、すべての反論をただ聞くだけでは「頼りない相手」に映ってしまうため、用意した課題解決策を事例とともに示す(切り返し)。当然、事前に想定できていなかった課題が出てくる。その場合は、顧客の指す課題の具体事例を聞き出す。聞き出したファクトは、顧客と共同で意味解釈を行って解決策の想定を行う。

(5)遂行方法提案 

 反論と切り返しまでに拡充したシステムビジョンの再確認を行う。KIの整理と課題の整理をしたうえで、修正した遂行方法を示す。以上の内容を基にチェンジコンセプト(CC)を修正し、CCを発言することで提案の合意形成を行う。

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