円安と人件費高騰で35%の減益に苦しむ中国:現地からお届け!中国オフショア最新事情(8)(1/3 ページ)
日本ではあまり話題にならないので知らない人も多いと思うが、円安人民元高が続いている。昨年比で15%人民元高となっており、中国オフショアベンダを苦しめている。この問題は、どう解決すればよいのだろうか。
中国人からの相談?円安で利益圧迫
今回は、円安人民元高の為替変動によって利益が圧迫されている中国ベンダの悩みを紹介します。この問題は、すべてのオフショア開発マネージャや営業担当者、経営幹部に考えていただきたいテーマです。筆者がこの問題に気付いたきっかけは、日本語が堪能な中国人から届いた1通のメールでした。
相談者の友人は、中国で数百名規模の日本向けオフショア開発ベンダを経営しています。中国シフトの波に乗って、これまで順調に業績を伸ばしてきました。ところが、最近は円安に悩まされているのです。以下に相談者から届いたメールを紹介します。
日本ではあまり報道されませんが、現在、人民元の相場は前年比で15%ほど円安人民元高が進行しています。さらに人件費の高騰も重なって、二重の負担が中国ベンダの経営を圧迫しています。中国沿岸部地域では、IT技術者の人件費は平均で前年比15%アップに達しています。両方を合わせると、前年比で35%の減益です。もともと売り上げを優先させるために、当社では採算ラインギリギリの単価で仕事を取っていました。これではどう頑張っても、35%の減益を吸収することは不可能なのです。
かといって、為替変動を理由に受注単価の見直しは難しいといわざるを得ません。友人は「このままでは、オフショア開発というビジネス自体が成り立たなくなる」とまで考えています。皆さまは為替問題についてどのようにお考えでしょうか。そして、どのような対策を考えているかをお聞かせください。
(日本企業に勤務する中国人読者)
円安を打開するにはどうすればよいの?
早速、読者アンケートを実施しました。極めて経営寄りの戦略性に富んだテーマなので、回答数はこれまでと比べて少なかったです。
筆者の元に届いた読者の意見を紹介します。
- 個人的な考えですが、
1.原価の低減
2.高付加価値化
が必要ではないかと思っております。
- コストの視点ばかり考えるだけでなく、リソースの視点や、文字通りアジアでの商売の視点で考えることが必要であると最近考えるようになっています
- 工期内のレート変動であれば、平均レートで精算する。長期のレート変動であれば、単価を見直す
- 中国の銀行に一定の手数料を払えば、ある期間で決められたレートで日本円⇔人民元(RMB)の換金ができます。なので大型プロジェクトの場合(長期間、契約金額が大きい場合など)はこの方法を使っています
- 最近、内陸に開発センタを移転する傾向があります。例えば、私はベンダさんの紹介で合肥を見学する予定があります
- (上記コメントに対して)内陸への移転といえば合肥は有力ですけど、山西の太原市も候補地になるのではないでしょうか
- 全体プロジェクトにおける中国への発注比率を拡大したらいかがでしょうか? 中国政府のCMMI取得への奨励、CSPIN(China Software and Systems Process Improvement Networks)の結成など、ソフトウェア開発のプロセス改善と品質改善の動きが活躍しています。最初はリスクが高くなるのは間違いありませんが、良いパートナーを見つけるのは昔ほど難しくないと思いますCMMI取得への奨励、CSPIN(China Software and Systems Process Improvement Networks)の結成など、ソフトウェア開発のプロセス改善と品質改善の動きが活躍しています。最初はリスクが高くなるのは間違いありませんが、良いパートナーを見つけるのは昔ほど難しくないと思います
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