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サービス内容を詳細化する手順Webビジネスの立ち上げ、ステップバイステップ(3)(2/3 ページ)

第2回「アイデアのシーズとニーズを探そう」では新規事業を考えるときのコツを検討した。今回はいよいよ事業内容の詳細に踏み込む。

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1) サービスの詳細化

◎ ネット上でのバーチャルな管理組合機能

・予定の告知

  ネットでの理事会の開催の告知、地域の行事、エレベータやガスなど設備のメンテナンスの予定の告知などを行う

・ネット上の理事会・総会の開催と決議

 理事会の開催の告知、参加者の登録、議事の事前告知、実際の(集まっての)開催の有無の採決、決議事項の採決などを行う。議事録の公開など行う

・意見や苦情と回答、落とし物の情報などの公開

 騒音問題など当人同士ではいいにくい苦情などを当人に代わって管理組合として告知して、マンション住人間でのトラブル解消を支援する

・そのほか

 学校、自治会、子ども会のサイトへのリンク。地域の商店街やスーパーのサイトへリンクや、広告情報などの表示をする

 これらのことを、文章だけでなく、図などを使って詳細に描き下ろしていった。

2) 対象顧客の明確化

 次は対象顧客だった。これは、ほぼ決まっているようなものだった。基本は自社の顧客だから、都心から少し離れた郊外の低価格マンション希望者ということになる。年齢は20代から30代。インターネットに精通している。マンション購入は初めて。働き盛りだ。仕事が忙しいこともあり、管理組合活動に割ける時間はない。吉岡のイメージがぴったりだ。奥さんも、PCやネットを十分に使いこなせるが、子供が小さいので、管理組合活動に対して積極的に時間を割こうと思っていない。

3) サービスの提供形態

 次はサービスの提供形態だ。自分はあまり得意な分野ではなかったが、「ASPやSaaSとかいう形式でサービスを提供するのだろう」ということぐらいは分かっていた。とりあえずは、このままにしておいて、後で見積もりをするときに、どういうハードウェアがいるとか、ソフトウェアの構成をどうするとかそういうことを考えよう。

補足) サービスの拡張

 サービスイメージ、対象顧客、サービス提供形態と考えていたところで、一息つきながらパワーポイント を眺めていくと、新しいサービスイメージを思い付いた。北尾は思い付くままに、サービスイメージを記述していった。

  • 住人へのネットワーク環境インフラ構築支援
  • 住人向けのファイルサーバ、メールサービスの提供
  • そのほか、地域情報、医療・生活・法律相談などのマンションポータルによるサービス提供
  • ケーブルテレビの接続などインフラ整備
  • テレビ放送のデジタル化支援
  • 入居前の住人(契約者)に対するサービス。スケジュールなどの連絡、建築状況の定点観測情報の提供など……

 これらは、最初考えた管理組合の支援サイトからは程遠かったが、マンションの住人を支援するという形でサービスを拡張して考えるとそれはそれで妥当なものだと思った。

 さらに、発想が広がった。対象顧客をリタイアした高齢層に広げてみるとどうだろうか。高齢者向けのサイトや、在宅ケアなどの情報提供、遠隔地にいる家族とのテレビ電話による、写真や動画のやりとりをするなどを行っても面白いのではないだろうか(下図)。

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対象顧客をリタイアした高齢層にも広げると、サービスの幅が拡大する

4) フィースキーム

 主力であるマンション住人向けの管理組合支援サイトについて、料金体系を考えてみることにした。料金徴収の仕方は、従量課金と定額課金が考えられそうだが、管理組合の支援は電話のように使用頻度に応じて課金する方式ではなさそうだった。月々の管理費にシステム使用量として上乗せ徴収するのがよさそうだった。では、いくらぐらい徴収すればよいのだろうか。北尾はまったくどう考えてよいのか分からなかったので、平松に問い合わせてみた。

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