スキルシートと単金だけで開発チームは作れない:開発チームを作ろう(6)(3/3 ページ)
われわれは、自分が分け入る森が常に、「前人未踏の暗黒の森」であることを理解しておかねばなりません。
チームメンバーを選定・評価する本当の指標
ここまでの5回の連載の分析からが5つのケースから抽出されました。
- 生産性
- 必要性
- 技術力
- 調整力
- 責任感
さて、最初に述べたようにITプロジェクトの基礎はQCD以前に「人」です。そして、すでにお話したようにITプロジェクトは複雑すぎて単純にマニュアル化することは不可能です。ゆえに、「マニュアルがなくても成功するチームを作ればいい」「チームを作るマニュアルがあれば“黄金のリンゴの木への地図になる”」というのが連載の最初で述べた論旨でした。以降、「いいチームを作るマニュアルは?」という視点で5つのファクターをピックアップしました。すると下の図のようにチームメンバーの選定と割り当てるロールの検討……、つまり開発チームを作るときの新しい指標が見えてきます。
マネージャの方は、メンバーを集める際に、コストが高い安い、人手不足だから……という前に一度これらのファクターで測り直してみてはいかがでしょうか? 技術力だけがあるメンバーをいくら集めても、ITプロジェクトがいい形で達成されるとは限らないということです。振り返ってメンバーの方はいかがでしょう。自分が技術力以外の上記の部分で欠けているものはないか、それが自分自身の評価の足を引っ張っていないかを考え直してみてはいかがでしょうか?
指標評価の例
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
「天国」プロジェクトの条件
さて、各回ごとにアンケートを取ったわけですが、まずその回ごとに貴重なご意見をいただいた皆さまに感謝を申し上げます。1人1人のご意見に私が会議室上でお答えするのもなんでしたので、まとめてブログか何かで答えさせていただきます。
アンケートを出す時点で、ある程度結果を予測して(次の記事の内容も視野に入れて)出させていただきました。書き込みの意見では素晴らしいものも多く、しばしば記事の内容を変更せざるを得なくなっていたことを付け加えておきます。
1.経験が長いが生産性が悪いメンバーがチームに入り成果が挙げられないのは1.経験が長いが生産性が悪いメンバーがチームに入り成果が挙げられないのは
- スキルシートで売り買いする業界の体質
- 教育などのプロセスがない開発プロセス
2.もっとも技術者としてモチべーションが上がるのは2.もっとも技術者としてモチべーションが上がるのは
- 金銭的報酬
- 顧客の評価
3.ITプロジェクトの運営で最も重要なことは3.ITプロジェクトの運営で最も重要なことは
- メンバーのスキル
- マネージャのスキル
4.見積もりで?システムの規模の次に最も影響するのは4.見積もりで?システムの規模の次に最も影響するのは
- 営業的事情
- チームのスキル
5.顧客に最も理解してほしいのは5.顧客に最も理解してほしいのは
- 概念仕様への理解
無理やりですが、これをつなげますと、業界の体質的な元請け下請けの構造がなく金銭的な報酬が十分に得られて、メンバーのスキルがよく、営業的な事情がよく、顧客が仕様を理解しているプロジェクトがこの世で最良の「天国」プロジェクトでしょうか。
皆さまの周りはいかがでしょうか?
筆者プロフィール
佐藤 大輔(さとう だいすけ)
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