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第7回 「設計」作業の成果は完成品質を左右するキーワードでわかるシステム開発の流れ(2/3 ページ)

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開発の進め方も実にさまざま

 設計工程の進め方も実にさまざまです。どのようにシステム開発を進めるか(設計工程も含め)について、代表的なものを幾つか説明します。

【ウォーターフォール・モデル】 まさしく「水が滝を流れ落ちる」ように「(1)要件の確定」→「(2)設計」→「(3)プログラム製造」→「(4)テスト」という定型的な流れで進行するシステム開発の手法(進め方)。ほとんどのシステム開発は(1)〜(4)の流れで進んでいくことが多いのだが、特に「ウォーターフォールで開発する」という場合には、(1)〜(4)の各工程の継ぎ目で厳密なチェックを行い、絶対に作業の流れが逆行しないようにしよう、という進め方を表すことが多い。

 

 この手法は一昔前には多かった、定型的な計算処理や簡単に変更されることの少ない業務処理ではうまくいっていた。しかし、初めて開発するシステムや世の中に先駆けた先進性の高いシステムなどでは、開発が進むに連れて問題や課題が発生する可能性が高いため、プロジェクト・マネージャーやリーダーなどが工夫して、ある程度工程の流れを後戻りできるよう進めていることが多い。そうした柔軟性を持つプロジェクト・マネージャーやリーダーに担当してもらえるようだと発注サイドとしても安心である。

 

【プロトタイピング・モデル】 システムの利用ユーザーから、より的確な設計のフィードバックを受けられるよう部分的または全体的に「取りあえず本物っぽく操作できる」システムを作成しながら進めていく手法。既に完成・市販されているようなソフトウェアであれば、試用(試しに使う)しながら確認することができるが、新しいシステムを開発する場合はそれができないため、せめてプロトタイプ(模型)を作成して、それを操作しながら機能のニーズやユーザーの操作性を確認しようという意図で導入される。

 

 プロトタイプ作成に必要な作業が発生するのは確かだが、間違った内容のまま設計工程を完了し、実際に製造を終えてから誤りに気付いて作業をやり直すのに比べれば少ない作業量で済むし、また、プログラム開発を支援する各種ソフトウェアの高機能化により、作成したプロトタイプをそのまま流用することも簡単になっている。開発ベンダの工夫次第で、使い捨てにならないように用意することは十分に可能なので、次回の開発時には開発ベンダに依頼してみてはいかが?

 

【スパイラル・モデル】 システムの最終完成に向けて、段階的に開発を進めていくような手法。ある部分の設計/製造が完了したら、その時点でのユーザーのフィードバックを収集し、それを次の部分に生かしながら設計/製造を行うような流れで進めていく。実際に動かせる(操作できる、処理できる)ものを作成しながら進めるという点では、プロトタイピング・モデルと相反するものではないが、スパイラルモデルの場合は、段階的に進めるなかでできあがるある部分は模型ではなくて、実際に業務で使用できるようなものが作られる。まず初めに「買い物メニュー」を作成してリリース、次に「ショッピングカート機能」を作成してリリース……、というような形で各メニューの開発を段階的に進めていく場合に向いている。



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いろいろなシステム開発手法がある

  開発の進め方も業界標準的なものがあるわけではなく、発注サイドとしてはいささか混乱する場面かもしれません。ただ、開発サイドとしても高品質なものを効率良く開発するために、各システムの特性や利用ユーザーのITスキルなど各要素を総合的に勘案して、最適な進め方を選択した結果です。専門的な色が濃いから開発サイドに任せてしまおうと思わず、疑問に思った内容は事前に確認しておくといいでしょう。「画面デザインの変更はどのタイミングまで可能ですか?」「製造(プログラミング)工程に入ってから、設計変更を行うことは可能ですか?」など。

 こうした点を明確にしないままに開発を進めていくと、万事うまく進んでいる間はいいのですが、一度問題が発生した時には取り返しのつかない(納期延長や大幅なコスト追加が必要など)ことになり、場合によってはシステムの完成それ自体が危うい状況となってしまいます。何か問題が挙がるたびに「もぐら叩き」的な対応を繰り返すのではなく、想定できることはあらかじめ、突発的な問題が発生した時には初めてその問題が挙がった時に、対応策をきちんと協議・決定しておくことが大切です。

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