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やってみて分かった、ビジネスモデリングの価値@IT情報マネジメント 勉強会レポート(2)(2/2 ページ)

2008年1月30日(水)、@IT情報マネジメント編集部主催「第2回 戦略マップ によるビジネスモデリング勉強会」が開催された。2007年12月に行われた第1回に引き続き、熱心な受講者が講義と実習に取り組んだ。当日の模様をレポートしよう。

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ビジネスモデルの評価

 講義の最後として、システム化してより良い姿へと洗練したはずのビジネスモデルが、本当に良くなっているのか、きちんと事後に評価する方法について解説が行われた。

 第1回で解説があったように、そもそものビジネスゴールはBSCの戦略マップを用いて導き出したものであった。従って、そのままBSCの手順に従い「スコアカード」を作成していれば、それを基にビジネスモデルとシステムが当初の目標を達成しているかどうか評価することができる。新しいビジネスモデルとシステムを実際に一定期間運用した後、スコアカードに記してあった目標値をどの程度達成できたかにより、そのモデルやシステムが有効であったかどうか、評価するのである。

 例えば、今回挙げた洋菓子店の例では、システムの目標値と実績を以下のようにスコアカードに記述することができる。

*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***

 もちろん、これらの評価結果を踏まえて再度ビジネスモデルを見直し、改良し、さらにそれを評価し……、というPDCAサイクルを回していくのが重要であることはいうまでもない。

ビジネスモデリング実習

 勉強会の後半は、ビジネスモデリングの実習に充てられた。提示された仮想事例に基づき、参加者が実際にビジネスモデルの作成作業を行うものだ。

 架空事例として内田氏が提示したのは、遊園地のビジネスユースケースだ(図7)。

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図7 遊園地のビジネスユースケース

 参加者は幾つかのグループに分かれ、グループ内で協議しながらこのビジネスユースケースをTo beモデルへと洗練させる作業を行った。画用紙にワークフロー図やシーケンス図を書き込みながら、あるときは参加者同士、真剣に議論し、あるときは和気あいあいと冗談を飛ばし合いながら、熱心に作業に取り組む姿が見られた。

 どのグループの作業でも共通して見られた傾向として、付箋(ふせん)紙が非常に有効に活用されていた。ビジネスオブジェクトやシーケンス図のメッセージなどの候補を1つずつ付箋紙に書き込んでいき、それを並べてグループメンバー間で協議しながら取捨選択していく。そして、選択されたオブジェクトやメッセージを、そのままシーケンス図やクラス図の中に貼り付けて配置していくのだ。

 講師の内田氏に対しても熱心に質問が飛び、わずか90分の実習の間にそれぞれのグループでTo beのビジネス分析シーケンス図とビジネス分析クラス図が完成した。そのうちの1つを紹介しよう。

 このグループでは、「遊園地の客層を広げる」というビジネスゴールを設定し、そのためのTo beビジネスモデルの検討を行った。その結果、お年寄りのお客さまでも安心して遊園地のサービスを楽しむことができる新しいビジネスモデルを定義した。

 具体的には、プランナーと呼ばれる担当者がアトラクションの待ち時間やショウのスケジュールなどを調整し、お年寄りのお客さまに最適な遊園プランを提供する。また「ファストパス」と呼ばれる、待ち時間を短縮することができるサービスも設定した。その結果、以下のようなビジネス分析シーケンス図を完成させた。

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図8 遊園地のビジネス分析シーケンス図

 このモデルに対して、内田氏からは、

 「非常に良くできていると思います。これに加え、お客さまをアクタとしてとらえて検討してみると、さらに現実的なモデルになると思います」

とコメントがあった。さらに、ほかのグループの成果物についてもレビューが行われ、内田氏だけでなく参加者からもさまざまなコメントが寄せられた。

勉強会を終えて

 勉強会が終了した後も、内田氏に熱心に質問する参加者が多く、また参加者同士で親睦を深める光景も見られた。「戦略マップによるビジネスモデリング勉強会」は今回行われた第2回で終了となるが、なかには「第3回は開催しないのか?」との声も聞かれた。講師やほかの参加者と身近に接することができるこうした形の催しは、多くの参加者にとって新鮮な体験だったようである。


 なお本勉強会の内容は、@IT情報マネジメントの連載記事「実践! UMLビジネスモデリング」の内容に沿って行われた。今回参加できなかった方も、同記事を読むことで勉強会を追体験してほしい。

参考記事
実践! UMLビジネスモデリング(@IT情報マネジメント)

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