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富士通、顧客管理・課金システムの導入を短期化各社で使える普遍的機能を用意、“イチから構築”を脱却

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 富士通は3月25日、顧客管理・課金ソリューション「Bitsolino」を発売すると発表した。自社独自の業務画面、帳票など、あらゆる要件に応じてシステムを構築する大企業向けソリューション「Bitsolino-Basale」と、中小企業向けのパッケージ製品「Bitsolino-Lieve」をラインナップし、2011年度末までに合計60億円の売り上げを目指す。企業によって要件が細かく異なる顧客管理・課金システムは手組みが通例だったが、一般的な手組み開発に比べ、前者は導入期間を30%短縮、後者は最短3カ月で導入可能だという。

 市場環境変化が激しい近年、企業はニーズに合わせて自社のサービスを柔軟に改善することが求められている。ただ、サービスの改変に合わせて整備しなければならないのが、顧客管理・課金の仕組みだ。特に、業種・業態を問わずサービス内容が多様化しているいま、例えば「変動型従量料金」「段階別定額料金」など、課金体系も複雑化する傾向にある。

 これを受けて、サービスを支えるシステムも構成が複雑化しがちであり、新規開発の際はイチから手組みで構築する例が一般的だった。そのため、経営的には一刻も早くサービスインすべき状況でありながら、システム導入に時間やコストを取られ、市場変化に追従しにくいといった問題があった。富士通のソリューション事業本部 テクノロジー・サービス事業部事業部長の奥川彰一氏は次のように解説する。

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富士通のソリューション事業本部 テクノロジー・サービス事業部事業部長の奥川彰一氏

 「市場変化が激しく競争も厳しいいま、企業はいちはやくサービスを改善し、実行していかなければならない。しかし、従来のように手組みでイチからシステムを構築していたら、スピードの速い市場環境変化にはとても付いていけない。Bitsolinoはこうした状況を受けて開発した。ポイントは、あらかじめ用意した部品を使って構築するアプローチを取ったことと、導入後のスムーズなメンテナンス、追加開発に配慮した点だ」(奥川氏)

 具体的には2つの特徴がある。1つは“概念データモデル”を活用していること。これは顧客管理・課金業務の本質部分のみを明らかにする考え方で、「顧客管理・課金業務のコア部分だけを洗い出すと、業種・業態による差異はほとんど存在しない」という。Bitsolinoはそうした普遍的な機能を“部品”としてあらかじめ用意。「それを幹として、顧客の要件を聞きながら枝葉を付けていくように」、あらゆる機能を追加して全体を構築するという。

 もう1つは、同様の考え方に基づいた汎用課金エンジンを用意したこと。例えば、課金とひと口でいっても、登録手数料、基本料金、会員費、入会金、パック割引、使い放題など多様な科目がある。しかし科目の本質部分に着目すると、すべては「一時金」「定額」「従量」「割引」の4つに分類できるという。汎用課金エンジンはこの分類に基づいてデータを処理、複雑な課金計算もシンプル化し、確実に行うという。

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Bitsolino-Basaleは契約、課金、請求、決済まで、パッケージ製品のBitsolino-Lieveは請求までをカバーする

 「業務の本質部分を洗い出し、普遍的な機能を前もって用意し、企業によって変わる機能は要件に応じて追加していくアプローチを取ることで、システム構成のシンプル化や、導入期間、コストの圧縮を実現した。導入後も機能追加・変更が容易に行える。また、両製品とも標準インターフェイスを用意し、顧客企業の既存システムとの連携にも配慮した。市場変化に応じた柔軟、迅速なサービス改善に大きく貢献できるはずだ」(奥川氏)

 価格は、Bitsolino-Basaleは個別見積りで、今年の秋以降に発売予定。Bitsolino-Lieveは1ライセンス/サーバ1台(顧客数10万までカバー可能)で500万円からとなり、4月1日に発売する。奥川氏は、「弊社にはあらゆる企業のシステムを構築してきた豊富なノウハウがある。業務に詳しいSEが顧客管理・課金業務の仕組みからコンサルティングを行うことで、すべての要件を満たせるシステムを、従来よりも短期間で、効率よく提供できる。前者は2011年までに8システム、後者は15システムが販売目標。総計60億円の売り上げを見込んでいる」と力説した。

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