SAS Institute Japanは8月26日、リスク管理ソリューションの強化を柱とする2009年度下期の戦略を発表した。ビジネスインテリジェンス(BI)業界の統合が進む中で、SASは「今後はさらにBusiness Analyticsソリューションに力を入れる」(同社 代表取締役社長 吉田仁志氏)としていて、「経営者にインパクトがあるソリューションを出していきたい」と強調した。
SASはBIで見える化した経営データを分析し、経営の意思決定を支援するBusiness Analyticsソリューションを今年の最重要戦略に据えていて、関連するソリューションを打ち出している。「見える化だけのBIはもう限界。今後はアナリティクス(分析)が重要だ」(吉田氏)
強化するソリューションは4つで、うち3つはリスク管理系だ。「SAS Fraud Management」は金融取引における不正利用の検知や防止のためのソリューションで、日本独自の「オレオレ詐欺」「振込詐欺」などの検知を可能にする。銀行、カード会社のほか、官公庁なども顧客になると考えている。
もう1つの「SAS Risk Management for Banking/Insurance」も金融業界向けのリスク管理ソリューションで、法規制対応などを可能にする。さらに「SAS Social Network Analysis」は金融取引などで疑いのある顧客と、そのほかの顧客の関係性を分析し、関係図を作成。パターンやトレンドを分析し、詐欺行為などの検知につなげる。インターネット上の関係を分析することでマーケティング活動などに活用することもできる。これら3つのソリューションは2010年6月までに提供開始する。
リスク管理ソリューション以外では収益性分析を提供する「SAS Profitability Management」を8月に出荷開始した。勘定科目よりも小さな単位で原価や収益を把握することができ、顧客1人単位や製品ごとなど小さな単位で収益性を分析できる。通信業界や銀行、カード会社、消費財メーカーなどに提供する。
技術と顧客理解で差別化を
8月6日に取材に応じた米SAS Instituteの上席副社長兼最高技術責任者のキース・コリンズ(Keith Collins)氏は、買収によってBI機能を自社製品を組み込もうとするオラクルやIBM、SAPなどのベンダに対抗するためには「技術と顧客の理解で差別化する必要がある」と語った。
顧客の理解では、信頼関係を築いたうえで、顧客のビジネスを理解し、ROI(投資対効果)にフォーカスし、ビジネスへの貢献を実現することが重要と強調した。また、技術については、企業内外のデータの統合や高品質化を実現した上で、分析機能を提供。ビジネスを理解したモデリングや最適化、予測がポイントになると話した。そのうえで、「分析ソリューションを提供するベンダはこれらをやっていればいいというわけではない。これらの領域すべてでナンバー1にならないといけない」としてSASの優位性を強調した。
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