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解決策を見つけるためにきちんと分析しよう BABOK 2.0を読んでみよう(2)(2/3 ページ)

BABOKバージョン2を解説する本連載の第2回となる今回は、BABOKの7つの「KA(Knowledge Area)」の中でも主要なビジネスアナリシス活動となる、「エンタープライズアナリシスKA」と「要求アナリシスKA」を細かく説明する。

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要求アナリシス(Requirements Analysis)とはどんなものか

 要求アナリシスKAでは、ビジネスアナリストが、明確にされた要求を分析するためのタスクとテクニックが説明されています。

 ビジネスアナリストは要求を分析し、ステークホルダーのニーズを満たすために実施するソリューションと、そのソリューションに必要とされる能力を定義します。従って、要求アナリシスKAは、ステークホルダーが持つ要求定義と、ソリューションに求められる要求定義を含んでいるということになります。

図2:要求アナリシスKA全体像(クリックで拡大)
図2:要求アナリシスKA全体像(クリックで拡大)

 それでは、要求アナリシスKAの各タスクをざっと見ていきましょう。

 『要求に優先順位を付ける』タスクでは、要求の相対的な重要性を決定します。今後の活動において、最もクリティカルな要求を分析し、優先的に実現するのが目的です。

 『要求を体系化する』タスクでは、ビジネスドメインやソリューションのスコープに対して適切で、要求同士の関連性を分かりやすく表現できるモデルを選択します。

 すべてのステークホルダーが要求を正しく理解するためのビューを作成するのが目的です。ビジネスアナリストが、UMLなどの正式なモデルの表記法に精通している場合、ついそれをモデルとして選択しがちです。

 しかし、いくら正しく書けていても、ステークホルダーになじみのない表記法では、理解が妨げられるケースが考えられます。『要求を体系化する』タスクではそのような注意点も取り上げています。

 『要求の仕様化とモデリングを行う』タスクでは、組織の持つ機能や要求の分析結果をテキストや図表、また『要求を体系化する』タスクで選択されたモデルを使って表現します。ステークホルダーの要望や現状を可視化するのが目的です。

 『前提条件と制約条件を定義する』タスクでは、前提条件と制約条件を明確にして文書化します。実行可能なソリューションに影響する、要求以外の要因を明確にするのが目的です。要求以外の要因とは、一般的にコストや時間に関する制約や、実装技術に関する制約など、プロジェクト側に選択の余地のない条件です。これらはソリューションのスコープやビジネスケースに影響するため、エンタープライズアナリシス活動の入力となります。

 『要求を検証する』タスクでは、要求が正しく定義されていることを確認します。明確にした要求とそのモデルが必要な基準を満たしており、今後のビジネスアナリシス活動を進めていく上で有効であることを確実にするのが目的です。

 『要求を妥当性確認する』タスクは継続的なプロセスです。要求アナリシスKAの活動を通して明確化された各ステークホルダーが持つ要求、ソリューションに求められる要求、ソリューションの導入について求められる要求が、組織のビジネス全体の要求と整合していることを確認します。すべての要求がビジネスに価値をもたらすことを確実にするのが目的です。(ソリューションの導入について求められる要求は、ソリューションのアセスメントと妥当性確認KAに定義されているタスクを通して明らかになります。ソリューションのアセスメントと妥当性確認KAは第3回で取り上げる予定です)

 以上が要求アナリシスKAの各タスクの概要です。これらの要求アナリシス活動のパフォーマンスも、エンタープライズアナリシス活動と同様に、計画された内容に従って管理され、実績が測定されます。

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