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インドオフショア開発における危機管理のポイントインドオフショアの裏話(4)(2/3 ページ)

インドオフショア開発は国内開発と違い、物理的な距離や文化の違いなどから、開発過程において“見えにくい点”が数多く存在する。今回は、この見えにくい点をどう見える化するかについて説明する。

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見えにくい要素を見える化しよう−その2

 続いて、俯瞰図を使った見える化の方法として「スケジュール俯瞰図」と「要員遷移俯瞰図」を紹介します。

スケジュール俯瞰図

 スケジュール俯瞰図についてもシステム構成俯瞰図と同様、インドオフショア側と全体を共有することが重要です。全体を共有することによって、インドオフショア作業以外の項目も理解してもらい、例えばインドオフショア作業以外の項目が遅れた場合のリスクなどは共有するべきでしょう。

 また、インドオフショア側の作業が「何をもって終わりにするのか?」を明確にすることも重要です。重要機能のインドオフショア側作業、もしくはインドオフショア開始初期時などは日本側とのレビューを終えて作業完了となる場合が多いと思います。

 従ってこれらの場合、インドオフショア内部レビュー、日本側との外部レビューを実施して1つの作業が完了することになります。作業項目および担当者を明記し、外部レビューが終了することが作業終了になると、明確にする必要があるでしょう。こちらも当然と思われるかも知れませんが、案外できていないことが多いのです。

 図2は単体テスト期間のスケジュール俯瞰図の一部(例)となります。インドオフショア内部レビュー、日本側との外部レビューを分けて項目を洗い出しています。外部レビューを終えて、作業終了ということが明確になっていると思います。また図2のようにインドオフショアの休日、日本の休日を記載するもの良い例でしょう。

*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***

要員遷移俯瞰図

 要因遷移俯瞰図も、どこの開発現場でも用意している資料でしょう。インドオフショア側とも人員の名前入りで共有することが好ましいと思います。日本の現場と比較すると、離職率も高いので、人員の交代などが発生した場合には更新する必要があります。個人名が入っていない資料にすると、知らない間に人員が変わっていたということが発生する可能性もあります。人員交代をあらかじめ想定し、予備人員の状況を記載することも良い方法だと思います。

見える化する際のポイント

 インドオフショア開発においては、見ることができない要素が多いわけではなく、見えにくい要素が多く、これらの見えにくい要素を危機管理することが重要なのです。

 見えにくい要素の危機管理=「見える化」の定性的な方法として、システム構成俯瞰図、スケジュール俯瞰図、要員遷移俯瞰図などを使用し、埋没して見え難くなった全体的な状況を高い所から、正確に把握する俯瞰図を用いる方法があります。

 日本側視点でインドオフショア側を把握するという一方的な視野でなく、インドオフショア側からも日本側を含めて全体が把握できるという視点でを確実にインドオフショア側と共有し危機管理することが重要です。

参考文献
『ITプロジェクトの「見える化」下流工程編』 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)著/日経BP社/2006年6月

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