いまさら聞けない、データセンターの基礎知識:“失敗しない”データセンター選定法(1)(2/2 ページ)
仮想化、クラウド、またビッグデータというトレンドを受けて、ITシステムを実質的に支えるデータセンターの重要性がより一層増している。コストを最適化しながら、システムの安定稼働すなわちビジネスの安定的な遂行を図るためには、どのような視点でデータセンターを選べば良いのだろうか。データセンターの選定法を2回に分けて解説する。
データセンターの価値を評価する4つの観点
では、以上のようなデータセンターの現状や提供サービスを踏まえて、「設備仕様」「立地」「サービス仕様」「コスト」というデータセンターの価値を客観的に評価するための4つの観点を紹介しよう。
設備仕様
データセンターの設備仕様は、「データセンター施設そのものの機能」を指す。データセンターが「コンピュータシステムの置き場所」として進化してきた過程で重視されてきた各種設備を、それぞれ客観的に評価する必要がある。
データセンターの設備仕様は、「電気設備」「空調設備」「防災設備」「耐震設備」「通信設備」「セキュリティ設備」などに大別でき、各設備が以下のような設備機能を備える。
一般的なデータセンターの設備仕様の概念図は下記のとおりである。
立地
データセンターの立地は、データセンターを評価する上で欠かせないポイントとなる。戦国時代における堅牢な城塞の多くが、地勢を生かした「天嶮(てんけん)の要害」と評されたように、データセンターを評価するに当たっても、施設「そのもの」の評価と併せて、その立地の評価が不可欠となる。データセンターの立地は、「災害リスク」「アクセス性」「自社拠点との距離」に大別でき、各項目に下記のような視点での評価が必要となる。以下にデータセンターの立地についての一例を示す。
サービス仕様
データセンターのサービス仕様は、データセンターの「設備仕様」と「立地」というハードウェア面における構成要素に対して、データセンター事業者によるサービスというソフトウェア面における構成要素となる。前述した「データセンターのサービス利用形態」で紹介したデータセンター事業者が提供する「サービスメニュー」「Service Level Agreement (SLA)」「業者選択自由度」「提供可能時期」「委託業務提供実績」等に大別でき、各項目毎に下記のような視点での評価が必要となる。以下にデータセンターのサービス仕様についての一例を示す。
コスト
データセンターのコストは、必要な初期費用と、「サーバ室」「運用要員居室」「テープ保管庫」「運用要員居室」などの利用費用に加えて、平米あたりのコストや電源費用など、その他に負担すべき運用費用を評価する。以下にデータセンターのコストについての一例を示す。
次回は以上の観点に沿って、いよいよ実際にデータセンターを選定するに当たってのアプローチを詳しく紹介する。
著者紹介
▼著者名 藤原 崇(ふじわら たかし)
プライスウォーターハウスクーパース テクノロジーソリューション マネージャー。データセンター選定、ネットワークインフラの見直し、基幹系アプリケーションの仮想化への移行、移設などを担当。通信事業者向けのBCP策定支援、データセンターおよびバックアップセンターの選定なども支援
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