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一番つらくて難しいのは“根回し”目指せ!シスアドの達人−第2部 飛躍編(21)(1/5 ページ)

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第20回までのあらすじ

 佐藤専務の失敗によって新システムで納期短縮を実現しなくてはならなくなった坂口。予測支援機能を盛り込むことでそれを実現できる見込みが出てきた。しかし、そのためには3カ月の開発期限延長が必要になることから、関係部署への根回しを西田副社長に命じられるのだった……。



経営層を社内調整する難しさ

坂口 「う、う〜ん……」

 名間瀬がリストアップした調整相手の役員一覧を前に、坂口は頭を抱えていた。

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 プロジェクトの3カ月延期を経営会議に付議する前に、根回しが必要なボードメンバーは7人。いずれも顔は知っているものの、話をしたこともない重役ばかりだ。西田から説得してもらうのが手っ取り早いのではないか、そんなふうにも思えた。

 では、なぜ西田は自分に根回しをさせようとするのか。坂口は、西田が以前自分に向けていった言葉を思い出していた。

 坂口は思い立ったようにキャビネットからサンドラフトの組織図を取り出し、それを見ながら調整相手の役員一覧に赤ペンでメモを書き込んだ。

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 思い付くままに、自分が持つコネクション内でキーパーソンへの説明の機会を得る方法を搾り出していた。しかし、それでも山本副社長への説明は西田しか思い浮かばないし、総務・広報・経理部門には、そもそも人脈がなかった。

 行き詰まった坂口は、横にいる伊東に声を掛けた。

坂口 「伊東、お前さ、配送センター長がどんな人か知っているか?」

伊東 「はい、岸谷さんとあいさつに伺ったことがあります。何度か配送センターでもお会いしました。センター長が来ると、いつも周りの人がピリピリしていました。でも、厳しそうに見えますが心配りをしてくれる方でしたよ。そうそう、歓迎会でもよくしていただきました」

坂口 「そうか、じゃあ岸谷さんと相談して、センター長とのアポを取ってくれないか?」

伊東 「わ、分かりました!」

 坂口は、席に戻ってきた加藤にも声を掛けた。

坂口 「加藤さん、山田常務とコンタクトしたいんですけど、広報室長にアポ取ってくれませんか?」

加藤 「どういう用件ですか?」

坂口 「プロジェクトの3カ月延期を経営会議に付議する前に根回しをしたいんです」

加藤 「それなら、経理部長経由の方がいいですよ。ここだけの話ですが、山田常務は経理畑出身で、広報室長とはあまり仲が良くないんです」

伊東 「経理部長なら、ぼきゅが総務部にいたときに、お世話になったことがあります!」

坂口 「そうか! じゃあ経理部長にもアポを取ってくれないか?」

伊東 「わ、分かりました!」

加藤 「ほかにも根回しが必要ですよね」

坂口 「じゃあ、このリストの7人への根回しを……」

 といいながら、坂口はリストを示した。

坂口 「でも、短期間で、役員クラスのスケジュールを押さえるのは難しいかな」

加藤 「役員のスケジュールを押さえるのは結構大変ですよ。でも、短期間でのアレンジが必要な場合には、秘書室の鈴木室長にお願いすると何とかしてくれると思います。日程候補が決まり次第、私に教えていただければ、私から室長にお願いに行きます」

坂口 「(役員相手に説明とは気が重いな。でも、この手の話はスピード勝負だ。どこから横やりが入るとも分からないからな。思い立ったら速攻だ!)」

 そして、矢継ぎ早に電話をかけ始める坂口だった。

坂口 「あ、田所部長ですか? 坂口です。ごぶさたしております。はい、元気でやってます。ところで、実は折り入ってお願いがありまして……」

 坂口は何だか昔の営業の血が騒ぐのを感じていた。

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