格安で通話できるIP電話は、ブロードバンドのキラーコンテンツとなりつつある。ビー・ビー・テクノロジーは11月の事業説明会で、120万8000件(10月末現在)のYahoo! BBユーザーのうち、BBフォン利用者は77万3000件に上ると発表。同社・孫正義社長も「BBフォンがYahoo! BB加入の大きな契機になっている」としている。このBBフォンの成功を受けてか、最近、各プロバイダ、通信事業者がIP電話サービスへの参入や実験開始を続々と発表している。
しかも、BBフォンのように同一プロバイダのユーザー間だけでなく、プロバイダを超えて無料通話を可能にするというのだ。
10月21日、フュージョン・コミュニケーションズは、プロバイダ各社のオプションとして提供するIP電話サービス「FUSION IP-Phone」を、2003年2月1日より開始すると発表した。サービス開始当初は、自社プロバイダのユーザーと、BIGLOBEのイー・アクセス対応コースユーザーにのみ提供されるが、同社・経営企画部の串馬佐知子氏によると「FUSION IP-Phoneはプロバイダフリー、ベンダーフリーが特徴。今後、ほかのプロバイダにも広げる予定で、FUSION IP-Phoneユーザーどうしなら、プロバイダが違っても通話料は無料になる」という。
また、プロバイダ間の連携も進んでいる。11月14日、OCNと@nifty、So-netは、NTTコミュニケーションズのネットワークを基盤としてIP電話サービスの共同実証実験を行うと発表。12月より各社ごとに試験サービスを開始し、2003年1月よりプロバイダ間での相互通話試験も行う。DION、ODN、BIGLOBE、Panasonic hi-hoも15日、同じくIP電話の相互接続を前提とした実証実験を12月より開始すると発表。さらにBIGLOBEとPanasonic hi-hoは20日、OCNらの共同実験にも参加を表明している。
「会員間の通話料無料」がIP電話最大の魅力。ユーザーにとって無料接続先が増えることは歓迎だが、複数のネットワークをサービス基盤に利用しているプロバイダの場合、同じプロバイダのIP電話ユーザーどうしでも無料にならないのでは? という疑問もある。FUSION IP-Phoneと4社による共同IP電話相互接続実験の両方に名乗りを上げたBIGLOBEでは、「いずれは両サービスを相互接続させたい」(広報)とのこと。
こうした料金設定の問題も、本格サービス開始までの検討課題となるようだ。本格サービス時には、ユーザーにわかりやすい形でサービスが提供されることを望みたい。
フュージョン・コミュニケーションズ 経営企画部 広報担当課長 串馬佐知子氏 「中継系サービスを実施していた実績は当社にとって大きなメリット。通話品質についてもユーザーの方に納得いただけるサービスを提供できるはずです」
ブロードバンドサービス企画 取締役社長 吉場修一氏 BIGLOBE、DION、ODN、Panasonic hi-hoが幹事を務めるプロバイダ連合「メガコンソーシアム」の運営事務局を代行。「IP電話の相互接続性の確保はメガコンソーシアム発足時からの課題だった」