かつては怪しくも危険な情報ばかりが飛び交う「アングラ掲示板」の代名詞だった2ちゃんねるだが、2年連続でしかもダントツの第1位ということになるともはや確実に市民権を得たといえるだろう。管理人の西村博之氏によると1年前は1日800万ページビューだったのが、現在はおよそ2000万ページビューまで増えているという。また、テーマ別に分かれた掲示板の数も増えて約400個。だれでも必ず自分の興味にマッチした掲示板やスレッドを見つけられる点が人気の秘密だ。
「聞いた話だと、某生保で働くときに署名させられる契約書には『2ちゃんねるに書き込みをしない』って項目があるらしいです」
内部告発は2ちゃんねる名物の1つだが、西村氏の語るそんなエピソードからもいかに2ちゃんねるが社会的影響力を持ち始めているかがわかる。このお騒がせなネット共同体の行く末やいかに…。
ショッピング&オークションで有名な楽天が提供する無料ホームページ作成サービス。ネット初心者でも簡単に掲示板やカウンタが付いたホームページを無料で作れる。また、ほかの人のホームページをプロフィールから検索することも可能だ。いまやだれもが情報発信の主役になれる時代。楽天広場の2年連続第2位は、匿名掲示板から一歩踏み込んだ自己表現の場として広くユーザーに受け入れられたことを意味している。
初エントリーでいきなり3位に登場。長引く不況に加えて企業や広告への不信が広まった結果、こういった口コミ掲示板が人気を集めている。ある意味、消費者の自衛策といえよう。とくに本サイトがメインの商品として取り上げているパソコンおよび周辺機器は価格も高く、失敗したくない買い物だけに口コミへのニーズがある。ほかに、家電、ブランド品、化粧品、車、ゲームなども取り上げ、男女を問わず人気を集めている。
2ちゃんねるは僕ものぞいたことがあります。デーブ・スペクターさんに「いろいろ書かれているみたいだよ」と言われて、見てみると司法試験板なんかで攻撃されてるんですね(笑)。それはともかく、2ちゃんねるや楽天広場について思うのは、みんな自分の意見を表明することに飢えてるんだな、これは人間の本能なんだな、ということ。これまで法律上でいわれてきた「表現の自由」は、主に「知る権利」、つまり情報の受け手としての権利のことだったんですが、いまでは原則に返って情報を発信するうえでの権利という側面が重要視されつつあります。ただ、ここには問題もある。
社会の権力には司法・立法・行政という国家の三権と、俗に第四の権力と呼ばれるマスコミがあります。僕はインターネットのコミュニティサイトはこれに次ぐ「第五の権力」になるんじゃないか、本当の意味で国民主権を実現するツールになるんじゃないかと期待しているんです。選挙なんかで世の中が変わらないことはみんなわかってる。でも、コミュニティサイトの力があれば変わるんじゃないか、と。
しかし、ここには匿名性という問題があります。匿名であるがゆえに無責任な発言ばかりが横行している。ときには無責任な意見表明も気楽でいいですが、匿名のままでは意見に力が出ない。単なる雑談、言いたい放題の自慰行為で終わってしまう。これは非常にもったいないと思うんですね。責任を持ち、自分がどこのだれであるかを明示したうえできちんと発言する。これが広まって、初めてコミュニティサイトが第五の権力になり得るんだと思います。そうは言っても、僕も体験していますが、責任ある発言はしんどい。ちゃんと事前に下調べをする必要もあるし、たたかれたり社会的なペナルティを課せられたりすることもある。だから、だれもがいつでも責任ある発言をするという状況が実現するのはなかなか難しいでしょう。でも、「こうあるべき」という理想・理念は必要だと思うんです。2002年はプロバイダー責任法も施行され、とりあえずプロバイダから責任を意識しましょうという理念の見え始めた元年でした。コミュニティサイトが本当に力を持つのはまだまだこれからでしょう。
一方、価格.com 口コミ掲示板の評価が高いのは企業からの情報への不信感の表れでしょう。ネットの「薄い人間関係」は口コミ情報の交換に適しています。一方、ランキングではそれほど目立っていない出会い系サイトも美人局、つまり恐喝事件が増加の一途をたどっているところを見ると、水面下で広がっているらしい。男女関係は本来「濃い人間関係」のはず。なのに、それをネットの「薄い人間関係」で性急にやろうとすると軋轢が生じ、事件に発展したりするのではないでしょうか。人間関係の濃い・薄いを見極め、薄い場面でコミュニティサイトを使うことが上手な活用のポイントだと思います。