最大40MbpsのADSL、登場
モデムの性能向上で中距離ユーザーにも効果の期待大
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イー・アクセスは11月5日より、下りの通信速度をおおむね40Mbpsにまで高めた新サービス「ADSLプラスQ」を開始すると発表した。今年8月に24Mbpsサービスの「ADSLプラス2」を開始したばかりの同社だが、それからわずか3か月という早さで、他社に先駆けて次世代の高速ADSLサービスを開始することになる。
ADSLプラスQで採用される主要な技術は、「クアドスペクトラム」と呼ばれる方式。すでに開始している24Mbpsサービスの「ADSLプラス2」では、従来の1102kHzから2204kHzまで周波数帯域を拡張した(ダブルスペクトラム)が、ADSLプラスQでは、この周波数帯域をさらに3750kHzにまで拡張する。これに加えて「S=1/8」、後述するオーバーローディング技術、モデムの特性向上などの組み合わせで、最終的に下りでおおむね40Mbpsを実現する(規格は今後ITU-Tで承認予定。現状は独自方式)。
現状、24Mbpsサービスでは期待するほどの速度が出ない例も多いが、「ADSLプラスQでは、条件によっては24Mbpsサービスから数Mbpsの速度向上も見られる」(イー・アクセスの渡辺芳治氏)という。
これは、オーバーローディング技術やモデムの特性向上の効果が大きい。ADSLでは、利用する周波数帯に4kHzおきに「搬送波」を立て、そこにデータを乗せて通信を行うが、オーバーローディング技術を利用することで、各搬送波に15ビット以上のデータを乗せることができる(これまでは最大15ビット)。これにより、全体的にデータの伝送量が増え、結果的に高速化されるわけだ。現状は最大16ビット程度だが、渡辺氏によれば、将来的にはさらに多くのデータを搬送できるともいう。
もちろん、ADSLプラスQの契約をすれば、必ずクアドスペクトラムやオーバーローディングなどの技術が使われるとは限らない。これらの技術が使われるのは、線路長1〜1.5kmほどの距離に限られ、それ以上の距離の場合は24Mbpsサービスと同じAnnexIや12Mbpsサービスと同じAnnexCで接続される。
ADSLプラスQでは、ADSLモデムに加え、ルーター、VoIP、無線LAN(802.11a/b/g準拠)の機能を備えた新型の多機能モデムも提供される
ただし、ADSLプラスQでは、モデムの特性向上によって、中距離での速度向上の効果も期待されている。とくに、AnnexIの利用可能距離が広がり、これまでの「ADSLプラス2」で2km前後までだったダブルスペクトラムの効果が、2.5km前後でも期待できる(ADSLプラスQ契約時のみ)。線路長が1.5km以上あっても、条件次第では、ADSLプラスQに乗り換えることで数Mbpsの速度向上が見られる可能性もあるという。必ずしも近距離ユーザーのみに特化したサービスというわけではない点が、高く注目される。
気になる料金は、各プロバイダからの発表になるため、現状では未定だ。ただし、24Mbpsサービスとほぼ同等の料金になると予想される。
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