前号でお伝えしたコピープロテクトCD発売以後、コピープロテクトCDを発売するレコード会社がさらに増加する傾向が見られる。先陣を切ったエイベックスは、5月からコピープロテクトがかけられないCD-EXTRA仕様のもの以外すべてに導入すると発表した。
4月中に発売された3タイトルぐらいなら、興味もなかったし買わないからいいやと思っていた人も、5月中に発売されるタイトルを見ると、自分もCDを買いたいと思っていたミュージシャンが含まれていたりするのではないだろうか。
ほかのレコード会社からもコピープロテクトCDの発売がアナウンスされている。山下達郎、坂本龍一、槙原敬之などが所属するワーナーミュージック・ジャパンは、5〜6月中にもコピープロテクトCDを発売するとのこと。アルバム、シングルのそれぞれ1枚ずつに導入し、タイトルは現時点では明かされていない。どのプロテクト技術を採用するかも公式には明かされていないが、同じグループであるワーナーのヨーロッパ部門からリリースされる2タイトルに、ミッドバー・テック社の「カクタス・データ・シールド」が採用されているため、同じになるのではといわれている。
さらに、東芝EMIからもコピープロテクトCDの発売が発表された。だがこれは、東芝EMI所属のミュージシャン単独のCDではなく、今年の「日本ゴールドディスク大賞」の受賞曲を集めたアルバム。宇多田ヒカル、浜崎あゆみなど人気歌手の曲を集めた生産枚数限定アルバムで、プロテクト技術を採用した理由は「各レコード会社の意向」としている。収録される曲を提供するのはエイベックス、東芝EMI、ポニーキャニオン、キューンレコードとEPICレコードジャパン(ともにソニー・ミュージックエンタテインメント系列)、ユニバーサル・ミュージック、BMGファンハウスの各社。プロテクト技術はエイベックスが導入している「カクタス・データ・シールド200」の採用が公表された。
ワーナーミュージック・ジャパンと東芝EMIは、以前からコピープロテクトCDに積極的と噂されていたところで、エイベックスの実施により機運が高まったと判断したのだろう。ほかのレコード会社も導入を検討しているところがほとんどで、この勢いは止まりそうもない。雪崩のように導入が進む、コピープロテクト技術。もう、ひとごととはいえない状況に差しかかってきているようだ。
パソコンで音楽を楽しむのは悪いことではない。米国でも同様の意見を議員が提出しているが、消費者の私的複製の権利を奪う行為は、法律に違反する可能性もある。また、「シールが貼ってあるからパソコンでCDを聞くことができなくても文句はいわせない」という日本レコード協会主導のコピーコントロールCDマークの導入も、製造物に対する責任を果たしていないとする見解もある。