アニメをきれいに、そしてファイルサイズを小さくエンコードするのはなかなか難しい作業だ。その原因となっているのが、実写との映像の性質の違いだ。
実写の場合は、隣り合った色が全く同じになることはあまり多くないが、アニメの場合はある一定の領域が全く同じ色で均一に塗られていることが多い。一方で、DivXなどのMPEGをベースとした動画圧縮技術は、動画を細かい正方形のブロックに分け、そのブロックを処理することで圧縮を行っている。そのため、アニメを圧縮する過程で画像に余計なノイズが加わったり、輪郭がボケてしまったりすることがあるのだ。
このようなノイズやにじみは、圧縮率を高くすればするほど、つまりファイルサイズを小さくすればするほどより目立ってくる。そのため、アニメをDivXなどで圧縮する場合は、それらのノイズやにじみなどをきちんと処理してあげるよう工夫しないと、うまい具合にファイルサイズが縮んでくれないのである。
アニメというジャンルは目の肥えたユーザーが多く、その要求品質を満たすにはそれなりの努力が必要になる。高画質を極めようとすると非常に奥が深い道であり、とてもこのページ数では語りきれないところではあるが、取りあえず押さえておくべきアニメエンコの基本を解説していこう。
それでは早速……といきたいところだが、まずはエンコードをするための下準備から始めよう。ここではキャプチャカードで取り込んだMPEG2形式のアニメ動画をエンコする手順を紹介していくが、最初にやるべきことは取り込んだMPEG2ファイルを映像と音声に分離するという作業だ。ちょっと面倒だが高品質なエンコードのためには欠かせないステップである。しっかりやろう。
7. プロジェクトファイル作成中のウインドウ。「Status」欄の「Remain」が「FINISH」になったら出力完了だ
8. 作業が終了すると、このように拡張子「d2v」のプロジェクトファイルと、WAVE形式の音声ファイルが出来上がる。ここからエンコの花道が始まっていくのだ!