「Excelの顧客リストは更新されず、もはや誰も使っていない」「担当者が退職したら、商談の進捗や顧客との関係性が分からなくなった」「マーケティング部門が獲得した見込み客(リード)を、営業現場で活かしきれていない」──。これらは、多くの企業が抱える顧客管理の根深い課題です。
SFA(営業支援システム)は、こうした課題を解決し、営業活動のプロセスを可視化・効率化するためのツールです。本記事では「SFAとCRMの違い」といった基本的な疑問から、SFAを“エンジン”とした「攻めの顧客管理」を実現するための具体的な活用ステップまでを徹底解説します。属人化した顧客管理から脱却し、売上を最大化する仕組みを構築するための一歩を踏み出しましょう。
機能で比較「SFA」おすすめ製品一覧

目次
なぜ、あなたの会社の顧客管理はうまくいかないのか?
多くの企業が抱える「Excelでの限界」「情報の属人化」「システムのデータ分断」といった、よくある顧客管理の失敗シナリオから、課題を明確化します。
ありがちな失敗1:Excel顧客リストの“ブラックボックス化”
手軽に始められるExcelでの顧客管理ですが、複数人での同時編集が難しく、入力ルールも徹底されないため、すぐにデータが陳腐化・ブラックボックス化します。担当者しか更新しないファイルは、リアルタイムな状況を反映できず、結果として誰もが使わない「“死んだ”リスト」となり、貴重な顧客情報が資産として活用されません。
ありがちな失敗2:担当者の退職で失われる“暗黙知”という資産
営業担当者が個人の手帳や記憶に頼って顧客情報を管理しているケースです。その担当者しか知らない商談履歴やキーマンの情報、顧客のニーズといった“暗黙知”は、人事異動や退職によって簡単に失われてしまいます。これは企業のナレッジが流出するのと同じであり、事業継続における大きなリスクです。
ありがちな失敗3:MA・SFA・CRMの“データサイロ化”
マーケティング部門はMA、営業部門はSFA、サポート部門はCRMと、各部門が別々のツールを使っているものの、データが連携されていないケースです。見込み客のWebサイトでの行動履歴が営業に共有されなかったり、営業が掴んだ最新の顧客情報がマーケティング施策に反映されなかったりと、部門間の壁が機会損失を生んでいます。
SFAとCRMの違いとは? 「攻めの顧客管理」の視点で理解する
「SFAか、CRMか」といったことも説明されがちです。しかし、営業支援(SFA)と顧客関係管理(CRM)はそれぞれ異なる役割を担いながらも相補的に活用されるべきもので、明確にどちらか一方を選ぶといったものではありません。ここでは、「SFAをエンジンとして、いかに優れた顧客管理を実現するか」の視点で両者の本質的な役割と関係性を解説します。
目的の違い SFAは「案件」、CRMは「顧客」が中心
SFAとCRMは、どちらも顧客情報を扱うシステムですが、その主目的と得意領域が異なります。
SFA(営業支援システム)
主に営業部門が利用し、「商談・案件」を軸に、営業活動のプロセスを管理・効率化することを得意とします。「今日の訪問予定」「今月の受注見込み」といった、“動的な”活動履歴の管理を中心に支援します。
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CRM(顧客関係管理)
主にマーケティングやカスタマーサポート部門が利用し、「顧客」を軸に、その属性や購買履歴を管理し、長期的な関係性を構築することを得意とします。「顧客の連絡先」「過去の購入製品」といった、“静的な”情報の蓄積が中心です。
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SFAとCRMはどちらを選ぶべき? という問いの罠
「SFAとCRMのどちらを選定すべきか」ではありません。営業活動の効率化と顧客接点の最適化は、企業活動において両立すべき重要な要素です。どちらか一方だけでは十分な成果を得にくい背景があります。
現代の多くのSFAには、CRMが持つ顧客管理の基本機能を包含していることもその理由です。このようなSFAを導入することが、結果的に質の高い顧客管理の第一歩となるでしょう。
目指すべきは、SFAの“活動データ”とCRMの“顧客データ”の連携
重要なのは、SFAが持つ「商談」や「営業活動」といった“動的なデータ”と、「顧客情報」という“静的なデータ”を結びつけ、「この顧客は今、どんな状況で、次にどんなアプローチが効果的か」を導き出す、「攻めの顧客管理」を実践することです。SFAをエンジンに営業活動を可視化し、そのデータで顧客の理解を深めていく──。このサイクルこそが売上向上に繋がるSFAの核心です。
【自社の成長段階別】SFAで実現する顧客管理 3つのレベル
企業の成熟度に合わせて、SFAを活用した顧客管理のステップを3段階で解説。読者が自社の現在地と、次の一手を具体的にイメージできるように導きます。
- Level 1:【脱・属人化】顧客情報の集約と共有
- Level 2:【営業プロセスの可視化】案件・活動管理
- Level 3:【データドリブンな営業へ】分析と予測
Level 1:【脱・属人化】顧客情報の集約と共有
まず取り組むべきは、社内に散在する顧客情報をSFAに集約し、誰でも同じ情報を参照できる状態を作ることです。
- 名刺情報の一元化: スキャナやスマホアプリで取り込んだ名刺データをSFAに集約。
- 顧客データベースの構築: 企業名、部署、役職、連絡先といった基本情報を正確に管理。
- 商談履歴の記録: 過去の訪問履歴や電話・メールでのやり取りを、担当者だけでなくチーム全体で共有。
Level 2:【営業プロセスの可視化】案件・活動管理
次に、営業活動そのものをSFA上で管理し、業務プロセスを標準化・可視化します。
- 案件管理: 商談のフェーズ(アプローチ、提案、クロージングなど)や受注確度、予定金額をリアルタイムで把握。
- 活動管理・日報: 各営業担当者の日々の訪問計画や活動内容を記録・共有し、マネージャーが的確なアドバイスを実施。
- 予実管理: チームや個々の売上目標と実績を比較分析し、目標達成に向けた軌道修正を支援。
Level 3:【データドリブンな営業へ】分析と予測
最終段階として、蓄積されたデータを分析し、科学的な営業戦略の立案に繋げます。
- 売上予測: 現在進行中の案件データに基づき、将来の売上を高精度で予測。
- 失注分析: 失注した商談の原因を分析し、営業プロセスの課題を改善。
- アップセル・クロスセル分析: 既存顧客の購買履歴から、追加提案の機会を創出。
SFAで顧客管理体制を最大化する5つの主要機能
SFAに搭載されている顧客管理関連の機能を5つに分類し、それぞれがどのように営業活動の成果に貢献するのかを解説します。
顧客情報管理(名刺・企業・担当者情報)
顧客の企業情報(業種、規模など)や担当者情報(役職、連絡先など)を一元管理するデータベース/データ管理機能です。名刺をスキャンしてデータ入力を自動化する機能もあり、営業の手間を削減します。
案件・商談管理
進捗状況(フェーズ)、確度、受注予定日、金額など、個々の商談を可視化します。自身は「次に何をすべきか/いつ何を行うか」を把握でき、マネージャーはチーム全体の案件を把握し、適切なタイミングでフォローやアドバイスができます。
営業活動管理(日報・スケジュール)
担当者の訪問や電話、メールといった日々の営業活動を記録・報告する機能です。スケジュールと連携し、活動履歴が顧客情報や案件情報に自動で紐づくため、情報共有がスムーズになります。
予実管理・売上予測
チームや個人の売上目標(予算)と、案件データに基づく売上実績・見込みをリアルタイムで集計・比較します。目標達成に向けた進捗を常に把握し、早期に対策を打つことが可能です。
レポーティング・分析機能
蓄積されたデータを元に、売上実績や活動量、成約率などのレポートを自動作成します。失注理由の分析や、成果を上げている営業マンの活動パターンを分析することで、チーム全体の営業力を底上げします。
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【目的別】営業と顧客管理を両立する、おすすめSFA 7選
SFA製品は多種多様に存在しますが、ここでは「顧客管理」と「営業活動支援」を両立させることに強みを持つ製品を目的別に厳選して紹介します(製品名 abcあいうえお順/2025年7月時点)。
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