高機能化が進むデジタル家電では、制御する組み込みシステムもより高度で複雑なものになっている。家電向けに最先端のテクノロジーをユーザーフレンドリーに仕立てる最新エンベデッド技術が、新製品のセールスポイントになるケースも多い。
東京ビッグサイトで開催中の組み込み技術展示会「組み込みシステム開発技術展(ESEC)」では、デジタル家電向けの最新組み込みシステムを見ることができる。ESECの注目展示から、デジタル家電の次期モデルが“売り”にしそうな機能をチェックしてみた。
NECエレクトロニクスが紹介していたのがDVDレコーダー用システムLSI。一家に一台の普及製品を目指すDVDレコーダーにとって、専用システムLSIは高機能化と低価格化を図るためのキーパーツ。同社が提案する次世代ソリューションは、DVDレコーダーのバックエンド処理(DVDレコーダに取り込んだ映像や音声の処理)LSIの全てを1チップに集積したシステムLSI「μPD61181」だ(3月22日の記事参照)。
同社は、3次元Y/C分離機能を搭載したアナログ―デジタル信号変換ビデオデコーダLSI「μPD64011B」、DVカメラ入力をサポートするIEEE1394LinkレイヤコントローラLSI「μPD72893B」、デジタル放送受信/DVD録画再生のシステムLSI「μPD61171」といった機能ごとのDVDレコーダー向けLSI群を開発しており、この3チップで構成されたシステムは、通好みの充実した編集機能で定評ある東芝「RDシリーズ」にも採用されている。
新開発のシステムLSI「μPD61181」は、この3つのLSIの機能を1チップに集積したもの。各種ドライブを接続するATAポートを2系統装備しており、DVD±R/±RWドライブの搭載や複数台のHDD内蔵などをサポート。ストリーム処理に特化した専用プロセッサによる3ストリーム同時処理で、DVD再生中の裏番組録画やコピー編集などの同時作業を可能にしている。
セットメーカーはμPD61181とメモリーを組み合わせるだけで、従来は8チップほど必要だった高機能DVDレコーダーのバックエンド処理システムが完成する。1チップ化によって周辺回路もぐっと減り、単なるコストダウンだけでなく機器の小型化、製造工程の簡略化、信頼性向上などに大きく貢献する。
例えば、東芝のフラッグシップ機「RD-X4」並みの高機能が、実売7万〜8万円の普及機に搭載される可能性も十分出てきたのだ。しかも、従来機よりずっと薄型になって登場するか、空いたスペースにHDDを増設して長時間録画対応のハイブリッドレコーダーだって作れそうだ。「μPD61181はすでにサンプル出荷を開始しており、1〜2カ月後には本格生産が始まる。東芝の次期RDシリーズにも搭載される予定」(同社)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR