不景気な世の中と言われ続けながら、この数年、出荷量・売り上げともに右肩上がりの成長を続けている分野がマッサージ椅子だ。とくに最近は高機能化が顕著で、同時に売れ筋価格帯も上昇。「高くてもいいものが売れる」という、メーカーにとってはありがたい環境が出来上がりつつある。
そんな状況のなか、松下電工は高級マッサージ椅子「モミモミ“リアルプロG2プレミアムクラス”」など2機種を8月1日に投入する。新たに、手から腕にかけての“つかみもみ”機能や、ふとももや腰周辺をマッサージするエアーバッグを搭載し、業界最大の施療範囲を実現。店頭予想価格は税込み47万円前後(オープンプライス)と、かなり挑戦的な高付加価値モデルだ。
製品名 | モミモミ“リアルプロG2プレミアムクラス” | リアルプロG2 |
---|---|---|
型番 | EP3500 | EP3210 |
価格 | オープン(47万円) | オープン(35万円) |
発売日 | 8月1日☆2☆ | |
マッサージ椅子の販売が好調に推移している理由について、松下電工のヘルシー・ライフ事業部ヘルスケアマーケティング企画部の高橋直之主任は「1つには、マッサージ椅子の中心的な顧客層である50〜60歳台に、いわゆる“団塊の世代”が突入してきたことが挙げられる。また、クイックマッサージ店などの拡大により、多くの人が“プロの手技”を知り、商品に対する要求が高くなった」と指摘する。事実、松下電工の調査によると、2003年度は20万円以上の高額製品が全体の75%を占め、今年は80%に達すると見込みだという。
とはいえ、これまで国内メーカーのマッサージ椅子は高くても30万円強。「モミモミ“リアルプロG2プレミアムクラス”」のような50万円近い製品の市場はできていない。しかし、高橋氏は「今後、競合他社も参入し、市場を形成するだろう」と自信を見せた。
「最近は買い換え需要も多いが、一度高機能なマッサージ椅子を体験すると、安い製品には戻れなくなる。ここ数年は、プロの手技に近いマッサージ機能を持つ高付加価値製品に対する人気が高まっている」。
リアルプロG2プレミアムクラスは、大きく分けて3つの特長を持つ。まず、肘掛け部に搭載したエアバッグによる「手・腕 連続つかみもみ」機能だ。普段は肘掛けとして利用しておき、マッサージのときは上半分が持ち上がる仕組み。ここに手を入れると、上下にあるエアバッグが手先から腕までを連続的にもみほぐしてくれる。
2つめは、下半身のマッサージ機能だ。ふとももとお尻の両側、そして座面にまでエアバックを仕込み、これまで施療が難しかった腰周辺を重点的にマッサージできるようになった。「ここ数年、とくに男性は体重が増える傾向にあり、腰痛を抱える人が多い。従来は肩や脚のマッサージが中心だったが、今回は座面や腰に注目した」(高橋氏)。これに合わせ、自動運転モードに「座・腰重点 痛み緩和コース」を新たに設けている。
首から腰までの上半身は、4つの「もみ玉」がカバーする。プレミアムの3つめの特長が、このもみ玉を制御する「デジタルGメカ」と呼ばれる機構だ。「4つのもみ玉は、X軸、Y軸、Z軸を自由に移動できる3次元駆動により、上半身だけで335種類ものもみ方を実現している。プロの複雑で繊細な手技にさらに近づいた」。
もみ玉の複雑な動きを可能にしたのは、12段階で回転を制御できるブラシレスモータとPWM(Pulse Width Modulation Control)と呼ばれるASIC(特定用途向けIC)。たとえば、肩や首をはさむようにしてもみほぐす「はさみもみ」、押し出すような「押しもみ」、上からツボを押さえる「指圧もみ」などが可能だ。また、力を入れたあとにしばらく“ため”をつくるなど、手技に近いもみ方も取り入れた。
このほか、ふくらはぎと足横にあるエアーバッグで足をつかみ、脚のせ台をゆっくり下に下ろす「2段階式脚ストレッチマッサージ」などの機能も装備。計40個のエアバックを搭載したことで、背面の施療範囲は70%を超えるという。ちなみに、ちょうど10年前の1994年に登場した「アーバン」の施療範囲は約18%だった。
なお、同社は「手・腕 連続つかみもみ」「2段階式脚ストレッチマッサージ」などいくつかの機能を省略した「EP3210」もラインアップしている。こちらの店頭予想価格は約35万円だ。
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