先週ボストンで開催された民主党大会では、ジャーナリズムを専攻する米大学3校の学生8人が、会場からブログを写真付きでリアルタイムに更新していた。
スポンサーにはCingular Wirelessが付き、学生たちはMotorolaのカメラ付き携帯を使って写真を撮り、レポートを作成。代議士、候補者、抗議者、地元の通行人などの写真を撮った後は、インターネット対応の携帯電話から、サウスカロライナ大学でNewsplexが運営するメディアセンターにブログを送る。その記事がWebに掲載されるわけだ。
Cingularのプロジェクトに参加したサウスカロライナ大学のアダム・ビームさん(21)は「党大会に関する情報を寄せ集めている」と話す。
この「Text America」のサイトは、Web対応の携帯電話を使ってブロガーが屋外からアクセスでき、学生8人の記事300件以上のほかにも投稿記事が載せられている。Cingularの期待通り、友好的な雰囲気の中での競争が、党大会で見かけたさまざまなイベント・人物についてレポートするモチベーションを上げる要因の1つになっていると学生たちは認めている。
Cingular Wirelessの最高マーケティング責任者マーク・レファー氏は、「米国の若者たちを動かす手助けをし、彼らを政治的なイベントに巻き込んでいきたい」と発表文で述べている。
ブログを投稿する学生は、カメラ付き携帯電話「Motorola V-400」を持ち、その日のテーマをまとめて、オンラインにスレッドを立てている。
学生らは党大会開催前の25日に集まり、この端末の使い方を習った。
ノースイースタン大学の大学院生ベッキー・ベネ(Becky Venne)さんは、「私は少しハイテクが苦手だけど、慣れてきた」と話す。
ブロードキャストコミュニケーションを専攻するベネさんは、画像を基に記事を考えることに慣れている自分にとって、ブログ作成はほかの学生よりも簡単だということに気がついた。
「記事は写真であり、テキストは補助的なものという考えを基にしている」とベネさん。
エマーソン大学の大学院生ドレイク・ルーカスさんは、写真という要素が、自身のレポートに対する考え方を変えたことに気づいた。
「以前は事前に調査して記事に取りかからなくてはならなかった。視覚に訴えるよりも、情報で伝えていた。ここではどちらの要素も必要だ。いい記事が書けても、ビジュアルがよくない場合もある。ビジュアルがもっと重視されるのだ」(ルーカスさん)
学生にとっては、信頼性が大きな問題になっている。
「われわれがブロガーだと言った途端に、政治に対して何らか意見を持っているのだと聞き手は思うだろう」(ビームさん)
ルーカスさんによると、多くのブロガーが党大会を追っているが、その大半はオピニオンとして書かれている。
「われわれのプロジェクトは、どちらかの党を支持するものではない。一般的なジャーナリズムの精神を守っている。新しいメディアを使っているだけだ」(ルーカスさん)。ブログを始めたい人は、ほかの人からどう見られるかを考えておくべきだとルーカスさんは勧めている。
学生たちはすぐに、オンラインで若者に投票を呼びかけるMTVのキャンペーン「Rock the Vote」向けにブログを書いていると読者に伝えるようになった。このキャンペーンはよく知られており、またMTV.comは彼らのブログにリンクを貼っているからだ。
ルーカスさんは携帯電話を普段は使っていないが、カメラ付き携帯はそれほど出しゃばった感じがせず、取材に役立っていると話す。「大きなカメラを向けられた場合とは違い、身構えてしまうようなメディアではない」
ベネさんは最近、個人的にテキストメッセージング機能を備えた携帯電話を使い始めており、カメラ機能が「使いやすい」ことに安心している。
ベネさんによると、この新技術は路上生活者にも受け入れられているという。
ベネさんとCingularのパートナーは28日、党大会に対するボストンの路上生活者コミュニティーの反応を記事にした。路上生活者の一部が非常に政治情報に通じていることに感銘を受けた彼女は、路上生活者たちは彼女と話をした2分後にオンラインに自分たちの画像が掲載されたことに同様に感心していたと語る。
ビームさんは、Motorola携帯電話のバッテリーが1日も持たないことが多い点を不満に感じている。1日中ダウンロードを続けるため、バッテリーがすぐに切れてしまうのだ。
ビームさんは、Cingular社員に携帯電話用の補助バッテリーを要求した。
「ケリー候補が通りかかったときに、バッテリーが切れているかもしれない。写真を撮れる可能性があるのに」とビームさん。彼はほかにも、主催者がコネを使って学生をもっと党大会後のパーティーに参加させるべきだと提言している。
携帯電話を使ったブログは、オリンピックや選挙日の様子を記事にするのに使えるかもしれないとルーカスさん。「ちょっとした記事を大量に載せるのに優れた方法だ」
ビームさんは、民主党大会に出席して、FleetCenterのフロアを歩く機会を得て、夢がかなったと話す。
「私の中のジャーナリストとしての部分は、デスクを用意して、もっと長くて良い記事をまとめたいと思っている。しかし私は21歳で、大学もあと1年残っている。だから、この場にいることはすごいことなのだ。党大会はこの1週間の世界的なトップニュースだ。私はここに来て、それに貢献しているのだ」(ビームさん)
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