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» 2004年08月18日 22時59分 公開

宇宙(そら)へ? エプソン、進化した飛行ロボット「μFR-II」を公開 (1/2)

エプソンの“タケコプター”こと、「μFR」(マイクロフライングロボット)が進化した。同社は8月18日、ケーブルレスで自律飛行が可能になった「μFR-II」を報道関係者に公開。近未来の利用シーンを想定して試験飛行を実施した。

[芹澤隆徳,ITmedia]

 エプソンの“タケコプター”こと、「μFR」(マイクロフライングロボット)が進化した。同社は8月18日、ケーブルレスで自律飛行が可能になった「μFR-II」を報道関係者に公開。試験飛行を実施した。また、μFRの特徴を生かす近未来の利用イメージも示している。

photo 「μFR-II」。電池込みでわずか12.3グラム。一般販売の予定はなし

 「μFR」は、昨年11月の「2003国際ロボット展」に登場した世界最軽量の小型フライングロボットだ。2つの超薄型超音波モータを使い、2つのプロペラを二重反転させることで揚力を発生。世界初のリニアアクチュエータを使ったX-Y重心移動機構で姿勢制御を行い、空中で移動やホバリングなどを可能にした(関連記事)。しかし、μFRは電池を搭載しておらず、飛行範囲が電源ケーブルの長さに制限されていたのが難点だった。

 “II”になったマイクロフライングロボットでも、揚力を得る仕組みや姿勢制御機構は同じ。ただし、本体の軽量化と超音波モータのパワーアップなどで揚力を向上させ、新たに搭載した電池の重さを上回るパワーを手に入れたという。本体重量は初代機よりも軽い8.6グラム(前回は8.9グラム)だが、模型用を流用したリチウムポリマー電池を含めると約12グラムになる。

photo
名称 μFR-II(マイクロ・フライング・ロボットII)
CPU 32bit RISCプロセッサなど
通信機能 Bluetooth
サイズ 直径約136ミリ、高さ約85ミリ
重量 総質量8.6グラム、電池込みで12.3グラム
最大揚力 約17g・f
飛行時間 約3分間
価格 販売予定なし

 セイコーエプソン研究開発本部開発企画知財推進部課長の宮澤修工学博士は、「通常なら軽量化に力を注ぐが、今回は軽量化と同時に重くなった重量をカバーするパワーを得ることに注力した。超薄型超音波モータは、世界最高のパワーウェイトレシオを持つモータだ」と話す。新型モータを得たμFR-IIの揚力は、μFRの3割増しにあたる約17グラムだという。

photo 超薄型超音波モータの原理。縦の屈曲振動により先端が楕円運動を起こし、それをロータに摩擦接触で伝達する。楕円運動の振幅はわずが数マイクロメートルだが、毎秒30万回も振動する

 一方、軽量化で重要な役割を果たしたのは、自社開発による世界最小・最軽量のジャイロセンサ「XV-3500CB」。XV-3500CBは、携帯電話カメラの手ブレ補正機能や、同じく携帯電話のGPSなどを想定して開発されたもので、パッケージサイズはわずか5×3.2×1.3ミリ。質量では従来の5分の1という。これをカスタマイズし、フライングロボットの姿勢保持機構に使用した。

 また、CPU(エプソン製の32bitのRISCマイコン「S1C33Family」など2つ使用)やメモリは、ベアチップの状態で柔軟性のある基板に高密度実装。それらを“コの字”型に折りたたんで本体に収納している。

photo ロータは発泡スチロール製。設計には東京大学・河内研究室が協力した。フレーム部にはグラスファイバーやジュラルミンなど軽量な素材を採用。コの字型になった基板も見える
photo 基板はCPUなどの制御部とジャイロ部の2枚。写真中央のチップがジャイロセンサ「XV-3500CB」だ
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