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重荷を背負いて歩けば充電――バックパック型発電機が登場

» 2005年09月09日 19時56分 公開
[ITmedia]

 ペンシルベニア大学の生物学者チームが発電機能を持ったバックパックを開発した。「Suspended-load Backpack」と名付けられた発電機のプロトタイプが9月8日、Science誌で発表された。携帯用電子機器を駆動させるに十分な7.4ワット以上を発電することが可能だという。

 兵士がGPS、通信機や暗視システムなどハイテク機器の交換用バッテリーは合計で20ポンド(約9キロ)以上になる。行軍中の兵士は通常80ポンド(約36キロ)の機材を運搬しており、その運動エネルギーを軽量なバッテリーに充電すれば、兵士の負担を軽減できる――そう考えた海軍研究事務所がアフガニスタン戦争の頃にペンシルベニア大学のラリー・ローム氏にコンタクトしたのがこの研究のきっかけだ。

 Suspended-load Backpackはハイカーが使うような強固なフレームを使うが、サックの部分は固定されず、バネで垂直につり下げられる。バックパックの中身が上下方向に運動する物理エネルギーを使い、フレーム内に仕込まれた小型発電機を動かすという仕組みだ。

 以前は靴底に発電機能を持たせるといったアイデアもあったが、十分な運動量を得ることができないため、廃棄された。人間は歩くときに一歩ごとに尻を5〜7センチ持ち上げるが、これでバックパックを上下に動かすことで発電するのである。

 発電量は40〜80ポンド(約18〜36キロ)の荷物を入れたバックパックでは平均で7.4ワットを発電することが可能だという。ただし、発電していても通常のバックパックと疲労度は変わらないという。代謝的に考えても、費やすエネルギーは余分なバッテリーをかつがないことで積める食べ物で十分に補いことが可能だとローム氏は説明している。

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