ロボットのアスレチック大会〜ROBO-ONE Special(6/6 ページ)
ロボット同士のバトルという印象が強いROBO-ONEだが、階段の上り下りやダッシュなどアスレチック競技だけを集めた大会が先頃開催された。「え、こんなのできるの?」と思っちゃうようなフィールドに、果敢に挑戦したロボットたちの様子をレポートしよう。
- MAGI(大河原和浩)
この競技にのみ賭けたきたマシンだ。横を向いて、両手でパイプにぶらさがる形ですべりおりる。しかも、ちゃんと制動ができていて、ブレーキをかけながら、ぴたりいい位置に止まる。後から聞いたのだけど、これは右の手のひらはすべって、左の手のひらはブレーキになるようにしておいて、すべりながらどちらの手に重心をかけるかで(その動きも、左手をちょっと外に開くだけだ)アクセルとブレーキを切り替えていたんだそうだ。美しい。
きれいにスポンジの中央に着地、転んでしまうけど、起き上がりながらスポンジのブロックを抜ける。ここまで10秒。速い。
しかし、ターンテーブルでつかまった。前転で抜けようとしたのが向う側に届かず、こっちに連れてこられてしまう。DAYNAMIZERと同じパターンだ。しかし、約30秒でここを抜けると後はまた速い。7、8、9ブロックは、連続前転で一気に抜けてしまう。この間わずか3秒。さすがに前転のまま一気に立ち上がることはできず、転倒状態から起き上がってゴールイン。
タイムは1分37秒00。すばらしいタイムだ。こうなるとターンテーブルにつかまっていたのが悔やまれるが、それを言ってもしょうがない。
- A-Do (菅原雄介&影)
パイプに右ひじを引っ掛けてのすべり下り方がなんともかっこいい。柱に激突して停止が、なんだかとっても痛そうにみえる。落下後、しばらく起きあがらないので、ドキドキするが、例のモーションでよっこらしょと起き上がろうとする。ところが(実況でも言っているけど)あの大きなモーションが、このような狭いフィールドでは仇(あだ)になる。リングアウトしてしまうのだ。何度もリトライをするが、状況は変わらない。最後には起き上がれなくなってしまいリタイア。
- ダイナマイザーJr(杉浦ブラザーズ)
何と杉浦家は、ブラザーズのチームもEagleに参戦してきたのだ。このロボットは、他の誰もやらなかったことをやった。「位置について」の状態のとき、ロボットはパイプに手を触れていない。「スタート」となってから、パイプをつかんですべり出すのだ。
パイプに激突するときも、足の裏でパイプにぶつかるようにして衝撃をやわらげているようにみえる。腕を放して落下するが、うまく起きられない。リトライしてみるも同様。3度目の試技の後、リタイアとなってしまった。
- マジンガア
右手に取りつけたフックを引っ掛けてすべりおりる。このマシンは身長があるから、柱に激突する前に足がつくのだ。そのままフックを外せば転ぶこともない。軟着陸だ。そのまま第4ブロックに進む。ここで転んでしまうけど、ちゃんと起き上がる。右手がフックでも大丈夫なのだ。
マジンガアが一番美しかったのは、ターンテーブルの乗り越え方だ。テーブルの手前に乗って、半周運んでもらって、向う側で降りた。闘わない姿勢がいい。その後も着実に進み、シーソーも転ばずにクリア。立ったまま第9ブロックにゴールイン。タイムは4分50秒57。このギリギリも時間もいかにもである。しかし、前転などの大技がなくてもちゃんとクリアできるってことが照明されたわけだ。
- ARIUS2
手にアタッチメントをつけての登場。これを引っ掛けてパイプをすべりおりる。また、あの特徴的な「角」つきの頭をはずして(*7)、丸いドーム状の頭に取り替えてきた。パイプを滑り落ちるが、どうも行きすぎてしまって、柱がジャマして起き上がれなくなる。想定したよりパイプがすべるために制御が効かなかったのだそうだ。
4回目のリトライでやっと、内側に落ちることができた。ここまでで2分経過している。しかし、そのあとは、何度も転びながらも、着実に進む。ターンテーブルの上でも転んだのだけど、半周したところできれいに起き上がって進んだので、あんまりロスはしていない。段差、シーソーなどもちゃんと転んでくれるので、トラップを作ったスタッフは冥利につきるというもの。それでも、4分00秒35でゴール。最初に2分のロスがあったことを考えるとかなり速いのだ。
- Metallic Fighter
所用からかえってきた森永さんの操るMetallic Fighterだ。特別なアタッチメントは付けずに、普段の手のままでの参戦。この手でパイプを包みこむように握って、懸垂するようなポーズですべり下りる。ところが、柱にあたったショックで、動かなくなる(背中のケーブルが外れたらしい)。
やり直し。今度は途中でブレーキをかけてうまく止まるのだが、手を放すときに右手だけが離れて、左手が残ってしまった。左手だけではブレーキがかけられず、柱まで下りてきてしまう。そうなると、その左手が外れない。片手でぶらさがっているから身体がねじれてパイプを斜めに持っている形となり、手を開いても引っかかってしまっているのだ。
再度やり直し、3度目。今度もちゃんとブレーキをかけてうまく止まる。両手もちゃんと放して下りる。ところが、着地のときに左手を柱に激突させてしまい、指がもげてしまった。起き上がることもできない。痛そうだ。
もういちどリトライして、片手だけで下りてこられるか試してみるが、やはり無理。リタイアとなってしまった。
以上で、全ての競技が終了。ROBO-ONE Eagleは1分37秒00でクリアしたMAGIが優勝となった。
また、各種目の順位点の合計で争われる総合優勝も、Eagleだけに出場のMAGIということになった。順位点には重みづけがあってEagle優勝者が有利となっていたのだ。総合2位はDYNAMIZER.
今回は、いかにも第1回っていう大会だった。ルールなどはやってみないとわからないところが出てくるので、その場で整備していく部分があるし、Dashでみんなあさっての方にいってしまうのは、第1回ROBO-ONEのときの様子をほうふつとさせた。
でも、たぶんこの次のROBO-ONE Specialでは、ずっとハイレベルなロボットの闘いとなるのだろう。この人たちはそういう人たちだ。
*7 私は今まで「くちばし」と呼んできたのだけど、ARIUS2本人が「角」と呼んでいるので、それに従うことにします。
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