90年代の始めに渡米し、すぐインターネットが商用化した。このころからインターネットとセキュリティに関わってきた。誰も「ファイアウォール」という言葉を理解しなかったとき、これからはファイアウォールが不可欠だ、といって論文を書いたことを思い出す。
当時ファイアウォールを提唱した人は皆そうだが、誰一人今のようにファイアウォールで断片化されたインターネットを作ることを目指していたわけではない。もっと自由な通信、いろいろなアプリケーションが企業を超えて安全に使えるようになることを期待していた。セキュリティは重要だが、通信を止めてはいけない。インターネットを発展させることに貢献しなければならない。セキュリティに携わるものは、これを常に心がけるべきだと、ずっと感じている。
ここにきて、ようやく「SSLVPN」という技術が現れた。ファイアウォールが現れて10年。ようやく、通信を止めるセキュリティから通信を広げるセキュリティの出現である。今回のセミナーでは、この10年来の思いを伝えたい。通信を広げるセキュリティ技術の出現をきっかけに、ネット上の新たなコンピューティングの世界が生まれるのである。
−則房雅也氏語る（日本電気株式会社 ビジネス開発本部 エキスパート）