輸入音楽CD規制に「待った」――音楽関係者268名が反対表明、幅広い層への理解を求める
輸入音楽CDが規制されるかもしれないという著作権法改正問題について、ミュージシャンや音楽評論家を始めとした、音楽メディア関係者の有志268名が反対意見を表明。音楽評論家の高橋健太郎氏ら代表者による会見が行われた。同意者の数はすでに600人を超えたという
声明を発表したのは、大貫憲章氏、小野島大氏、北中正和氏、佐々木敦氏、鈴木茂氏、高橋健太郎氏、田中宗一郎氏、野田努氏、ピーター・バラカン氏、藤川毅氏(50音順)を代表者グループとする268名。会見では高橋氏が中心となって事態の説明を行い、著作権法改正への反対を表明した。
問題の概要ついてはこちら(参考記事)に詳しいが、高橋氏らによる反対声明は5月11日に公開された初日だけでも6万を超えるアクセスがあったそうだ。
発表された声明への同意者は268名だが、声明公開後にも賛同者は増えており、「すべての賛同者人数を合計すると、現在は600名を超えていると思う」(小野島氏)という。
「こうした人数が行動を起こすことは極めて異例で、(286名の賛同者の中には)25誌以上の雑誌編集長の名前もあります。これは、音楽関係者や一般消費者の危機感が高まっているあらわれと考えています」。高橋氏は極めて短い時間にもかかわらず、多くの賛同者が現れていることをこう表現する。
問題については、「輸入権を行使できると言うことは、市場をコントロールする力を手に入れることに繋がります。私たちはそれを恐れるのです」「今まで買えたものが買えなくなる、そうした事態を恐れます」と、著作権法の改正によって起こりうる事態を懸念する。
すでに法案は参議院を通過しており、衆議院での審議を待つ状態。今後の活動ついて高橋氏は「意見書を文化庁に提出したい。衆議院には問題視している議員もいると聞いているので、再考されるかもしれない。国会議員への働きかけも進めていきたい」と方針を語り、「(法案)修正の余地はあると思っている。廃案を含め、輸入CDに関して懸念のない形になればよいと思っている」と最終的な目標を述べている。
また、「著作権法というものを利用して、知る自由や表現の自由を制限しかねないことに対して、危惧を表明する」「今後も強い反対を表明していく。音楽ファンの不利益というだけではないということを意識してもらいたい」と、音楽愛好家だけの問題ではなく、幅広い層に関わる問題であり、幅広い層への理解を求めるとした。
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