“ユーザーの生の声”を活用できる「メーカー直販」――エプソンPTV販売戦略(2/2 ページ)
セイコーエプソンの大画面プロジェクションテレビ(PTV)「LIVINGSTATION」は、1インチ1万円を切る低価格や低消費電力といった魅力のほかに、エプソンダイレクトを通じて発売する“メーカー直販スタイル”が話題となっている。PTV販売戦略について同社に話を聞いた。
「50万円前後の大画面テレビが欲しいというユーザーは、年齢でいうと40歳以上の中高年層。製品自体のサイズも大きいため設置がたいへんなのはもちろんだが、中高年層はテレビとAV機器との配線も苦手というケースも多い。今回は、電話/FAX/ウェブなどで受注したら、すぐにオペレーターがユーザー宅にコールバックする。そして、何階に住んでいているかなど住居環境や設置場所、配達時間帯などを電話で細かくチェックする」(有賀氏)
テレビも含め家電製品の“デジタル化/高機能化“で、設置/使いこなしが以前と比べて非常に難しくなっているという声がユーザーから上がっている。有賀氏は、“メーカー直販”がデジタル家電の新たな販売スタイルになっていくとアピールする。
「現在のディーラー経由の家電販売スタイルは、ディーラーの声ばかりがメーカーに聞こえてきて、本来のユーザーの声や姿が見えなくなってしまっている。日本にはまだ、家電直販いう文化が根付いていないが、フェイス・トウ・フェイスで商品を直接届けることによって、ユーザーの生の声を吸い上げることができ、それが次の商品展開に生かせる」(有賀氏)
「仮にPTVを販売店で売ったとしても“プラズマテレビよりも安いですよ”といった売り方しかされないのでは。我々は、日本でまだほとんど普及していないPTVという魅力のある商品の価値を高めていきたい。それには、我々が直接ユーザーと対話して販売していくしかない」
メーカー直販というデジタル家電の新たな販売スタイルを提案しているが、PCとは異なり、テレビは購入前に製品の映像などを自分の目で確かめてみたいものだ。だが、現在LIVINGSTATIONを常時展示しているのは、エプソンダイレクトプラザ(秋葉原)/エプソンスクエア新宿(東京都新宿区)/エプソンイメージングギャラリーepSITE新宿(東京都新宿区)/エプソンスクエア御堂筋(大阪市中央区)の4カ所と、決して多くはない。
「COREDO日本橋など話題のスポットや各種イベント会場などで期間を限定して展示していくほか、ホテルのロビーなどに置くといったことも検討している。またケーブルテレビ局とタイアップし、PPVハイビジョン番組の販促ツールとしてハイビジョン対応で大画面/低価格なLIVINGSTATIONを売ってもらうことも検討中。例えば、ケーブルテレビ局がハイビジョン番組とのセットで月々1万円のリースを行うということも考えられる。こういったフットワークの軽さもメーカー直販の魅力」(有賀氏)
関連記事
- 薄型大画面TVの“第3の選択肢”――プロジェクションTVの魅力
大画面なのに低消費電力、軽量な環境配慮型ボディ、なにより魅力的な“インチ1万円以下”――セイコーエプソンが満を持して国内投入したプロジェクションテレビ「LIVINGSTATION」。プラズマ/液晶に次ぐ大画面テレビ“第3の選択肢”の魅力を、同社の開発者に聞いた。 - プラズマよりも大画面で低消費電力――エプソン、プロジェクションTV発表
同価格ならプラズマ比2倍の表示面積で消費電力はプラズマの半分以下、実はスリムで日本のリビングにもピッタリ――1インチ1万円以下を実現したセイコーエプソンのプロジェクションTV「LIVINGSTATION(リビングステーション)」。直販で届けられる大画面TVの魅力とは? - 大画面TV競争の“ダークホース”――「リアプロ」の可能性
日本のリビングにベストサイズな30〜40インチ前後の大画面TV。だがその選択肢は、現在のところ高価なプラズマ/液晶TVしかない。だが、この“薄型TV”たちも1〜2年後には大画面TVの主役ではなくなるかもしれない。そのカギは「リアプロジェクションTV(リアプロ)」が握っている。 - EDEX2004にみる“これからのテレビ”
- セイコーエプソン、北米でリアプロジェクションTV発売
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.