DVDレコーダー'04年夏モデル、傾向と対策:まだ買ってない人のための(4/4 ページ)
アテネオリンピック特需で新規参入も相次いだDVDレコーダー市場。8月13日のオリンピック開幕も間近に迫ってきたが、7月21日に東芝の「RD-XS53/43」が無事出荷され、各社の主力モデルがようやく出そろった。ITmedia LifeStyleでこれまでに掲載したレビューを踏まえ、総括してみよう。
編集機能は、メーカー間の差が大きい部分だ。高度な編集機能を持つ製品と、ほとんど編集と呼べる機能は持たない製品に二極化しつつある。ただし、編集機能を持たない製品でもHDDからDVDへのダビング時にはプレイリストやチャプター機能などを用いることで任意の部分だけDVDへ保存できる仕様となっていることが多い。
編集機能は、DVDへのダビング時にCMなど不要部分をカットするためのものと思われがちだが、それだけではない。スポーツ中継延長対応などを備えた製品では、録画の失敗が減る代わり、30分や1時間という単位で不要部分が録画される。しかし物理的なカット編集が行えないと、この不要部分も番組自体を削除するまで、HDDを余分に消費し続けることになる。
各社の製品を眺めてみると、編集機能は新規参入メーカーの方が軽視する傾向が強いようだ。ハイエンドモデルがないため、編集機能に重きを置いていないのかもしれない。編集機能が充実しているのはパイオニア、東芝で、松下電器もカット編集は備えている。PSXはカット編集こそ備えているが、オリジナルは保存しておくタイプであり、仕組みとしては他社のプレイリストと同じ。HDDの節約には繋がらない点には注意したい。
もちろん、大容量HDDを採用した2004年春〜夏モデルでは、それほど気にする必要はないかもしれない。ただ、ヘビーに録画する人ほどHDDに溜め込んでしまうという話も良く耳にする。DVDにダビングするつもりだけど、HDDに溜め込んでしまうかも……という不安を持つ人は、カット編集機能を備える製品を選んでおいたほうがいいだろう。
依然差のあるコピーワンス対応
この4月から、デジタル放送は一斉にコピーワンス放送へ移行した。コピーワンスとは、その名のとおり録画は1度のみで、ダビングは行えないというコピーコントロールを指す。DVDなどに保存したいときは、「ムーブ」(移動)対応のレコーダーとCPRM対応メディアを使う必要がある。そして、このコピーワンス放送の録画に関しては、依然製品間で扱いが異なる点に注意したい。なお、コピーワンス放送はCPRM対応のDVD-RW、又はDVD-RAMメディアにしか保存できない点は共通なので以降これを前提にする。
現在、もっとも多いパターンは、HDDへの録画、DVDメディアへのダイレクト録画が可能で、HDDへ録画した番組はDVDメディアへ移動できる製品だ。松下電器、パイオニア、東芝、日立、ビクター、三菱電機の製品が該当し、一般的かつ妥当な対応といえる。
変則なのはソニーだ。「スゴ録」ではHDD、DVD-RWへの録画ができるが、HDDからDVD-RWへの移動は行えない。「PSX」はHDDへの録画が可能だが、DVD-RWへの移動は行えない。いずれも中途半端な対応としか思えず、地上波の録画中心と割り切らないと買いづらい(関連記事)。
また、NECの「AX300H/L」は、コピーワンス放送の録画自体が行えない。この製品はPCとの連携機能が強力で、構造がPCに近いといった点が原因と思われる。PCユーザーにとっては魅力の大きい製品の1つだけに残念な部分だ。
ブランドで買うか、機能で買うか?
今回は画質面にあえて触れなかった。こればかりは評価に主観が入ってくるのを避けられないからだ。こちらについては、過去のレビューを参考にしてほしい。ビクターの「快録LUPIN」に関しては詳細レビューはまだだが、VHS一体型「DR-MF1」のレビューで、メーカーとしての画質の方向性はある程度判断できると思う。
2004年春〜夏モデル全般にいえるのは、一気に機能充実が進み、カタログスペックではメーカー間の差異が見えにくくなってきたことだ。昨年までは一部製品だけであった高速ダビング時の並行録画は標準的な機能となり、DVDへのダビング速度も4倍以上(PC表記)と平均化が進んでいる。EPGも多くの製品が採用しており、EPG非搭載の製品と比較すると、格段に録画予約は容易になった。
残念なのは、ゴーストリダクションチューナーを採用した製品がビクター「DR-MH50」のみであることだ。下手な高画質化回路よりもその恩恵は大きい人も多く、PCでのテレビ録画になれたユーザーがHDD+DVDレコーダーを購入する大きな障壁になっているのは否めない。PCでの採用例を見る限り、コスト面での影響は大きくなさそうであり、少々首をひねる部分でもある。
各社製品のスペックが横並びになる中、わが道を行ったのが東芝だ。詳細はレビューを参照してほしいが「W録」はかなり魅力的で、EPGも情報量の多い「DEPG」。10万円を超える価格になるが、ヘビーに録画を行う人はやはり要注目だ。
価格面まで含めてみると、松下電器、パイオニア製品は人気を反映してか強気の価格で推移している。これに対して、機能的にはむしろ勝る面すらあるソニーや新規参入メーカーは価格攻勢に出ており、スペックに対して“お買い得感”が非常に高い。実績で築いたブランドで買うか、機能面で創意工夫の多い新規参入組の製品を買うか……そんな贅沢な悩みを抱えてしまいそうな2004年春〜夏モデルなのだ。
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