“ウケ狙い”のソーシャルネット「キヌガサ」の可能性
ログインページは「キルビル」風。サイト内にもクスリと笑えるネタ満載の「キヌガサ」。「GREE」や「mixi」よりも儲からないモデルを敢えて採っているが……。
「最初は冗談だった。『ウチもソーシャル始めました』って言えばウケるかなと思って、自分のBlog(ブログ)に、ソーシャルネットワーキングサイトのニセ申し込みページを貼ってみた」――無料ソーシャルネットワーキングサイト「キヌガサ」ができたきっかけを、paperboy&co.の家入一真社長はこう話す。
「真に受けて申し込もうとした人が『なんだ、冗談か』と呆れていたから、本当に作ってしまったらもっとウケるかも」。そう思って一気に作り上げたのがキヌガサだ。
名前も“ノリ”で付けた。「“キヌガサダケ”というキノコから取った。強そうな名前だから」。
名前だけではない。「キヌガサのウリは、ちょっとふざけているところ」と社長自ら言うくらい、色々なところにユーモアがあふれている。ログインぺージのデザインはなぜか映画の「キル・ビル」風。ユーザー向けのお知らせ文ひとつひとつにもクスっと笑えるネタが仕込んである。
ログインページ。「デザイナーが勝手にこんなのにしちゃった」。ユーザーは、自分自身を何かの「鉄人」として自己紹介する。「元広島カープの野球選手・衣笠祥雄さんのあだ名が『鉄人』だったから」導入したシステムだ
まじめなサービスは他のソーシャルで既にやってるから、敢えて軽いノリにしたというキヌガサ。「ネットのヘビーユーザーだけじゃなく、一般の人にたくさん使ってもらいたい」。
キヌガサに参加するにはユーザーからの招待が必要。「ユーザーに優越感を感じてもらうため」招待制を選んだ。同社のブログサービス「JUGEM」や、親会社GMOのデスクトップサービス「mypop」のユーザーにも招待メールが送られている。
今は儲からないシステムが、今後のビジネスのカギに
ユーザーが利用できる機能は、先行の「GREE」や「mixi」と同様、友人リスト、日記作成、メッセージの送受信、本やCDのレビューなど。
レビューを通じて本やCDが売れれば、売り上げの数%が運営者側に入るアフィリエイトシステムを導入しているのも先行サービスと同じ。これがキヌガサの唯一の収入源でもある。
ただキヌガサは、GREEやmixiと違い、ユーザー自身のアマゾンIDを登録可能だ。IDを登録したユーザーのレビューから商品が購入された場合、アフィリエイトはまるまるユーザー側に入る。「ユーザーが“マイショップ”を作ってお金儲けできたら面白いだろうと思って」このシステムを採用したという。
現状では運営者側に利の薄いこのレビュー機能だが、今後のビジネスのキーになるという。「アフィリエイト単体ではなかなか儲からないが、信用できるレビューを1カ所に集約できれば、何かできるのではないか」。JUGEMのレビュー機能とも連動させ、“何か”を産もうと企む。
ただ、まずはサービスを充実させてユーザーを増やし、レビュー数を伸ばすことから始めたいという。6月下旬のオープンから1カ月で1万ユーザーを集めたが、「10万人くらいは欲しい」。
ノリと勢いでアイデアを次々に具現化してきたキヌガサ。勢いに任せて走りつつ、独自のビジネスモデルを探っている。
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