HD DVD、準備は完了?――メモリーテック、DVDとのコンパチ製造ラインを公開(2/2 ページ)
メモリーテックはDVD/HD DVDの双方が生産可能なラインを公開した。製造材料においても両者の共通化は進んでおり、HD DVDメディアの早期大量生産が可能なことをうかがわせた。
DVDとHD DVDの生産において最も異なるのは金属製マスターディスクだが、これ以外はほぼ共通。デモが行われたDVD/HD DVDの生産ライン切り替えも、金型の入れ替え以外はスイッチでプログラムを切り替えるだけという簡単なものだった。
来年にはDVD/HD DVD両対応のコンパチラインが主流になる
これまでのDVD製造ラインにHD DVDの製造機能を追加で入れることも可能だというが、、DVDのみを製造する機器と、DVD/HD DVDの両対応機器を比較してもそのコストはほぼ変わらないという。
「現在もDVDの生産は好調で、全世界的に見ても生産ラインの増強は進んでいる。新たに生産ラインを増強する場合、(製造機器の価格が変わらないならば)DVD/HD DVDのコンパチラインが導入されることは自然の流れになるだろう」(同社)
また、「材料系のチューニングを進め、DVDと同じ材質でHD DVDの製造が可能になった」というように、製造材料においても、DVD/ HD DVDの共通化は進んでいる。同社ではこうしたノウハウを今月下旬には公開する予定で、それによってHD DVDの普及を促進したい考えだ。
この手のノウハウは従来、メディア製造メーカーが“自社技術”として競争力の源泉にしてきたもの。それをさっさと公開しては、同社は先行者としての利益を失ってしまう。これについて同社は、「製造方法自体は、じきに各社へ普及することになると思うが、先行したことによって得られたノウハウは高く評価されると考えている」(同社)
同社はこの明野町のラインに加え、南アルプス市にもコンパチラインを設置する計画で、すべてのラインが完成した場合、月産280万枚のHD DVD生産能力を持つことになる(DVDならば月産330万枚)。
関連記事
- 東芝・NEC、HD DVDのロードマップを説明――DVDメディアとの兼用生産プロセスは稼動段階に
東芝、NECなど3社はHD DVDの普及を加速させるため、国内コンテンツ事業者向けの説明会を開催。Blu-rayと異なる規格になった“発想の違い”や、既存のDVDとの互換性が高く、移行コストを抑えられる兼用生産ラインがすでに稼動しつつある状況など、HD DVDの強みについて強調した。 - マイクロソフト、HD DVDへの支持を表明――Blu-ray DiscはVC-9対応次第?
“アテネ前”に2層記録の製品も登場したBlu-ray Disc陣営に比べ、動きが少なかったHD DVD陣営に援軍が現れた。26日に東芝やNECが行った説明会で、マイクロソフトとポニーキャニオンがHD DVDへの支持を表明。ポニーキャニオンは2005年中にHD DVDソフトを投入する予定という。 - 初のHD-DVDフォーマット、DVDフォーラムで承認へ
DVDフォーラムは、HD-DVD-ROMフォーマット初の商用版となるバージョン1.0の規格を承認する見通し。そうなれば、事実上の“ポストDVD”をめぐるHD-DVD対Blu-ray、およびそれを支持する企業間の対立が鮮明になる。(IDG)
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.