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坂村教授率いるYRP-UNL、ユビキタス端末の量産開始(1/2 ページ)

YRPユビキタス・ネットワーキング研究所(YRP-YNL)が、携帯端末「ユビキタスコミュニケータ」新モデルの量産を開始。10月から神戸でのユビキタス実証実験に大量導入される。“いつでも、どこでも”の世界が、実現に向けて新たな一歩を踏み出した。

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 YRPユビキタス・ネットワーク研究所(YRP-UNL)は9月15日、T-Engineベースの携帯端末「ユビキタスコミュニケータ(UC)」の新モデル(量産型)を開発し、実証実験用に生産を開始すると発表した。

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「ユビキタスコミュニケータ(UC)」の新モデル

 UCは昨年10月にYRP-UNLが開発した手のひらサイズのユビキタス情報端末。昨年12月に開催された「TRONSHOW 2004」では、ユビキタスコンピューティングが普及した近未来の生活で活躍するUCが紹介されたほか、今年1月に行われたユビキタスID技術による食品トレーサビリティ店舗実証実験では野菜のRFIDタグを読み取ってその“素性”を知るための重要な役割を担っていた。

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今年1月の食品トレーサビリティ店舗実証実験では野菜の“素性”を知るためのツールとして使われた

 だがこれまでのUCは、実験用として1台ずつ手作りに近い状態で作られてきたカスタム品だった。YRP-UNL所長の坂村健・東京大学教授は「今まで5モデルほど試作してきて(今回の)6モデル目でようやくスペックなどが確定し、大量生産ができるようにあった。今回のUCは非常に高性能。機能的にはPC以上のスペックを搭載している。ただしそのために、新型の専用ASICを作らなければいけなかった。約3年かけて、量産可能なLSIの開発を行ってきた」と語る。

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YRP-UNL所長の坂村健・東京大学教授

 ではなぜ、UCの量産が必要だっただろうか。

 その理由について坂村氏は、“いつでも、どこでも”のユビキタス世界を現実に近づけるためには、もっと多くのユビキタス端末を使って大規模な実証実験を行う必要があったと説明する。

 「10月〜12月にかけて、神戸で国土交通省と協力してUCを使った大規模な実証実験(自律的移動支援プロジェクト)を実施する予定。そのために数千台規模でUCが必要だった。神戸では街中にucodeタグ(RFID)を設置し、ユーザーにさまざまなサービスを提供する。新型UCは、従来モデルより高機能化され動作も安定している」(坂村氏)

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自律的移動支援プロジェクト実証実験を想定したデモ

新型UCは高性能モバイルマシン

 新型UCのサイズは、76(幅、アンテナ部込みで82)×144(高さ)×15(厚さ)ミリで重さは約196グラム。マルチバンド対応のucode(RFID)タグリーダーを内蔵し、RFIDの通信方式で普及している2.45GHz帯と13.56MHz帯をサポート。試作レベルでは900MHz帯の全世界仕様モデルもできているという。

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