誰にでも使える高性能レコーダー、松下「DMR-E500H」:レビュー(3/3 ページ)
ホームネットワーク機能という際立った特徴を持つ松下「DMR-E500H」だが、DIGAシリーズのフラッグシップとして、ほかにも充実した機能を誇る。今回は、DVDレコーダーとしての基本機能と、前回紹介しきれなかったPCや携帯電話を使ったリモート録画予約について触れていきたい。
チューナー品質が画質を左右することが多い地上波録画だが、「DMR-E500H」の画質は春モデルと比較して落ち着いた印象を受ける。DIGAシリーズの場合、派手とまではいかないものの、発色重視の傾向が見られるのだが、今回はそれが見られない。
もっとも、これはチューナーが変更された結果というよりは、ゴーストリダクション機能の影響が大きそうだ。初期状態ではゴーストリダクションが全てONになっており、これをOFFすると(筆者宅では)ゴーストがのる代わりに発色が一段鮮やかになり、いかにもDIGA的な画質となった。
ゴーストリダクションがONでも、解像度が大きく損なわれることはないし、放送画質の良い生放送を録画しても不満は感じない。ゴーストの多い受信環境の筆者なら、間違いなくONで利用するだろう。ちなみにゴーストリダクションのON/OFFはチャンネルごとに設定が可能で、設定画面では実際の受信状態(テレビ画像)を確認しながら設定できる。ゴーストがそれほど酷くない環境の人ならゴーストリダクションを使うか使わないか、実際の画質を見ながら決めても良いだろう。
録画品質に関しては、筆者宅で“どうしてもXPモードで……”というソースが準備できなかったため評価は避けるが、地上波の録画であればSPモードでほぼ十分。LPやEPといった長時間録画モードでも大きな破綻はみられず、購入状態でONになっているデジタルNRもLPやEPモードで有効に機能する印象だ。とくにEP8時間モードでは、見やすさという意味でデジタルNRの効果は大きい。
SPモード(クリックで拡大)。エンコード性能をチェックするため、DVフォーマットのソースをPCで9MbpsでMPEG2エンコードし、DVD-RAM経由でDMR-E500HへダビングしてSP/LP/EP6時間モード/EP8時間モードでそれぞれ再エンコードダビングした
LPモード。SP/LPモードは発色の傾向も似ており、SPモードがD1(720×480ピクセル)、LPモードがHalfD1(352×480ピクセル)という解像度の違いがそのままディテールの反映された結果となった
誰でも使える高性能モデル
「DMR-E500H」を全体的にみると、DIGAシリーズのハイエンドモデルながら尖がった製品という印象はなく、使い勝手は普及モデルとほとんど変わらない。ネットワーク機能などに興味がなくても十分に使いこなせる製品であり、単に大容量HDDやゴーストリダクションチューナーに魅力を感じて購入したとしても後悔はしないだろう。いかにも松下らしい、誰でも使える高性能レコーダーといえる。
反面、大容量HDDを搭載しつつ、録画した番組をフォルダ分けしたり、検索したりする機能がないのはどうだろうか。並べ替えも昇順のみで、たとえば録画日が新しい順にもできない。一覧の先頭で前ページを指定すれば最終ページから逆向きに一覧することもできるが、慣れないとそこまで機転が利かない場合もあるだろう。SPモードですら約177時間、つまり1時間ドラマが177番組も録画できるのだから、検索性にも配慮してほしいものだ。このあたりはDMR-E500Hに限らず、ほかの秋モデルにもいえることだ。
一方、ネットワーク対応機能に関しては今後の展開にも期待したい。今のところ、コピーワンス番組のネットワーク再生は「DMR-E500H」同士に限られるが、テレビやより安価なDVDレコーダーに搭載したり、安価な再生専用機器を提供してくれれば、録画したデジタル放送を家庭内でより自由に低コストで再生できるようになる。デジタル放送はコピーワンス、という枠組みが崩れる見込みがない以上、再生環境だけでもさらに自由度を高めていって欲しいと思う。
なお、前編で触れたアナログの5.1ch出力については、DMR-E500Hが再生をサポートするDVDオーディオではデジタル出力が2chのみとなり、マルチチャンネル再生時に必要というご指摘を頂いた。この場を借りて補足させて頂く。
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