優れた色バランスの秘密は“新光学回路”――プロジェクター「LP-Z3」:レビュー:劇場がある暮らし――Theater Style(4/4 ページ)
Z1/Z2とヒットを飛ばした三洋電機が、年末商戦向けに用意したホームプロジェクター「LP-Z3」。新光学回路「TopazReal」で、従来機の弱点だった画質や色味はどこまで改善された?
全体的な絵作りの傾向としては、コントラスト感を欲張るのではなく、中間調の階調を豊かに表現するタイプ。誇張が少なく自然な印象だ。AE700のようなコッテリとした色ノリを期待すると裏切られるが、階調の豊かさではZ3に分がある。
なお、三洋電機によると、こうした画質の改善は光学回路のファインチューンによって達成された面が大きいとの事だ。偏光板の最適化などにより、色バランスを光学的に改善させたことで、素直な色特性と高コントラストを実現できるだけの基礎を作り上げたという。Z2とZ3は筐体デザイン、レンズユニット、そして液晶パネルなど共通する部分が多いが、映し出す絵は全く別物だと考えていい。
また明るいダイナミック、パワフル、といったプリセットも、なかなかバランスがいい。特にダイナミックは明るさの割にファンノイズも少なく、比較的明るい部屋でも十分に視聴できる。ハイライトは飛び気味のチューンだが、色バランスも明るさの割に良好で、完全遮光していない環境下ではなかなか“使える”モードだ。
ユーザーの意見取り入れた細かい仕様変更
最後にいくつか、ユーザーの意見を取り入れたと思われる細かい仕様変更について触れておきたい。
まずZ2で指摘されていた液晶パネルへのゴミの付着に関して、ユーザーの手によるメンテナンス手段が提供されるようになった。メニューからの操作でクリーニングモードにすると、白画面が表示され、冷却ファンがフルスピードで回る。さらに筐体底面にクリーニング用の孔が設けられ、付属のブロワを用いてゴミを簡単に飛ばせるようになっている。
マイクロ表示デバイスを用いるプロジェクターでは、どんな方式でも多少は同じ問題を抱えているが、自分でメンテナンスする手法が用意されている点は心強い。また、Z2の後期モデル以降、エアフィルタの目が細かくなり、ゴミそのものの混入もしにくくなっている。
また、アナログ信号入力時のRGB各バイアス、ゲイン、ガンマをユーザーが調整可能になった(従来はサービスマンモードでの調整のみで、エンドユーザーには公開されていなかった)。接続する映像機器に最適化して、設定を追い込みたいコダワリ派のユーザーも、これで満足できるだろう。
さらに入力端子も増加している。これまでD端子1系統だけだったコンポーネント系の入力端子が2系統になり、3端子のコンポーネント入力も備えている。またDVI-I端子はHDMI端子とアナログRGB端子に分かれている。このところ、急速にHDMI端子が普及し始めている事を考えれば妥当な仕様変更だ。
Z3は元来の自由度が高い設置性、静粛性に加え、画質面が大幅に改善された。コントラストを強調した“ハッキリ、クッキリ”系の絵ではなく、コッテリとした色ノリの良さも感じないため、やや物足りなさを感じる人もいるだろうが、ソフトで豊かな中間階調の表現を気に入ったなら選択肢の一番上に入れるべきだろう。
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