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リアプロTVは日本に根付くのか?Theater Style〜麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」(3/5 ページ)

今年後半に国内で注目を集めた大画面テレビが「リアプロジェクションTV(リアプロTV)」。家屋の狭い日本で“第3の大画面”は日本のユーザーに受け入れられるのだろうか。“業界のご意見番”麻倉怜士氏に日本市場でのリアプロTVの将来性などを聞いた。

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――今年5月のエプソン参入までは、ソニーだけが国内で展開してましたね。

麻倉氏 : 実はソニーのリアプロTV「グランドベガ」は、隠れたヒット商品なんです。特にハイビジョンの画質がすごくいい。現行機種はグランドベガとして3代目なのですが、初代に比べてノイズが非常に少なくなってます。色むらも少ないし、解像感もある。エクスキューズは視野角ぐらいで、ハイビジョンがハイビジョンらしい精細感でしかも迫力ある大画面で楽しめるのです。

 プラズマ/液晶が価格に対して画質が追いついていなかった昨年ぐらいまでは、私はAV専門誌のベストバイで大画面テレビ分野でいつもグランドベガに最高点をつけていました。

――日本ではリアプロTVは向かないという意見も多いですが。

麻倉氏 : 米国でリアプロTVが伸びていた昨年から今年にかけての時期は、日本ではプラズマ/液晶など薄型大画面テレビがブレイクしていました。米国でも薄型テレビはそこそこ人気を博しているのですが、同じサイズでプラズマでは100万円するものが、リアプロTVでは50万円ぐらいで売っており、店頭で並んでいるのを見比べても画質もあまり変わらない。スタイルも近年のリアプロTVはデザイン性に優れたものが多く、最近ではSamsungが薄型テレビよりもオシャレなデザインのDLPリアプロTVを出している例もあります。米国ユーザーのニーズにうまく合致したのでしょう。

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Samsung のスタイリッシュなハイビジョン対応DLPリアプロTV「HL-P5085W」。米国などでは40万円前後で販売されている

 日本では薄型テレビが先行しましたが、デジタル放送が普及し始め、ハイビジョンが主流になっていくという背景は米国と同じ。そういう意味で今年、エプソンがリアプロTVを国内で販売したのは、時代の結節点のような気がします。

 よく言われるのがリアプロTVの大きさですが、日本の家屋でもテレビはコーナー置きがほとんど。60センチ前後あるブラウン管テレビの奥行きを考えたら、従来からブラウン管テレビを置いているところに大画面リアプロTVがそのまま置けるのです。

 ハイビジョン放送の普及をはじめ、ホームシアターという文化も定着してきており、大画面のニーズも高まっています。リアプロTVが日本で根付く条件は十分にあると思います。

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リアプロTVの奥行きは40センチ前後。ブラウン管テレビが置いてあった場所にそのまま置ける

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