コンパクトな“プライベートシアター”――ケンウッド「ES-9DVD」:レビュー:フロントサラウンド特集(3/3 ページ)
ケンウッドの「ES-9DVD」は、独自バーチャルサラウンド技術「V.F.S.II」でフロントサラウンド出力が行える小型サイズのシステムコンポ。レビュー特集第5弾となる今回は、このコンパクトな“プライベートシアター”の実力を探ってみた。
背面には冷却ファンがあり、常に回転している。手をかざすと生暖かい空気がゆっくりと出ているが、通常は低速回転。前面からであれば、DVDの回転音のほうがむしろ気になる程度の静かさにとどまる。つまり、通常聴くレベルの音量であれば問題ないが、MAX近くまで音量を上げてDVD再生をしていると、断続的に回転が高速になる。
サラウンド感は良好。ただし、手動でのモード切替は不便
5.1ch音声の映画を視聴してみたところ、音質が浮き気味で軽い印象はあるが、サラウンド感については、ビクター「NX-DV3」と同レベルか、やや上回っている。ただ、音量をある程度上げると音が歪んでくるので、大音量再生には不向きだ。
通常のステレオ収録の音楽は、サラウンドオフでは力不足に感じるので、V.F.S.のMUSICモードで聴いたほうがいいだろう。MUSICモードでは最低限のエフェクトにとどめられているので、違和感もあまり感じない。ただ、不便なことに、V.F.S.モードの設定をソースごとに覚えてくれないため、ソースに合わせて、手動でモード切替を行う必要がある。
また、CD-R/RW(ISO9660フォーマット)に記録された、MP3/WMA音声やJPEG映像ファイルの再生も可能だ。ビクター「NX-DV3」では、ディスクに音声と映像の両方が書き込まれている場合、初期設定で指定したほうだけ読み込めたが、この製品では混在していてもそのままブラウズできる。ファイルの一覧も、ディレクトリ表示だけではなく、アイコン(JPEGはサムネイル)一覧にも切り替えられる。
今回はフロントサラウンド特集ということで、この製品を取り上げたが、やはり機能面で少し古い印象は否めない。ケンウッドではほかに5.1chホームシアターシステム「DVT-6300」(2004年8月発売)をリリースしており、価格もほぼ同程度なので、特にMDやチューナーが必要でなければ、そちらを検討してもいいだろう(フロントサラウンドではないが……)。ただし、こちらもMPEG-2 AACには非対応となる。
関連記事
- MDコンポの顔から“映画音響”――ビクター「NX-DV3」
独自の4chフロントサラウンド「√4(ルート・フォー)」を搭載した日本ビクター「NX-DV3」。十分効果のある映画音響が楽しめ、価格の割に音のいいスピーカーなど音楽を聴くのにも申し分ない。MDコンポを購入予定だが、サラウンドにも興味があるという人に適した製品だ。 - 音の質と豊かさで感動を演出〜BOSE「FreeStyle」
フロントスピーカーのみでサラウンドを提供するBOSEのエントリー向け「FreeStyle(3・2・1 SPEAKER)」。質の高い音響を手軽な操作で楽しみたいというユーザー向けにスピーカー名門が作った“フロントサラウンド”の実力をレビューで探ってみた。 - 手軽さが売りの“2.1chかんたんシアター”――松下「SC-HT03」
フロントサラウンド特集の第2弾は、松下電器産業の“2.1chかんたんシアター”「SC-HT03」。手軽に構築でき、音質も気軽に音楽や映画を楽しむには十分。「大画面薄型テレビの次はカジュアルなシアターサウンドシステムを」というユーザーに最適だ。 - ワンボディで“本物の5.1chサラウンド”を――ヤマハ「YSP-1」
フロントスピーカーのみでサラウンド環境を提供する製品をレビューする短期集中連載。第1弾は、ワンボディに搭載した40のスピーカーを個別制御して5.1chを作り出すヤマハ「YSP-1」を聴いてみた。 - 低価格5.1chサラウンドシステム特集
- LifeStyle:ホームシアター
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.