1位と2位がタッグ――松下と日立、プラズマ生産技術で協業(2/2 ページ)
プラズマディスプレイパネル(PDP)生産で1位の松下と2位の日立が、PDPの生産技術分野での協業を発表。資材の共同調達や両社先端技術の相互活用などで、韓国勢にコスト面で対抗する。
プラズマテレビを構成するPDPの生産数では、現在、松下が国内シェア1位で日立が2位となっている。
今回の協業について、日立製作所の庄山社長は「日立、松下ともに大画面・高画質の主役であるプラズマテレビ分野でリーディングカンパニーである。日本が誇る先端技術を結集したPDPを“日本発・キーデバイス”として、世界市場で発展していきたいという思いで両社が合意し、今回の協業となった。両社ともに、大画面・高画質の市場で、PDPの優位性/将来性/発展性を確信しいてる。開発/生産/マーケティング/知的財産権の4分野で協力しあうことで、市場のさらなる活性化につながる。PDP市場のけん引役を担っていく責任があるという点で一致した」と語る。
また松下電器の中村社長は「テレビの歴史は大画面化の歴史。テレビはいったん大きいものを観てしまうと、もう小さい画面では満足できなくなる。また高画質なものを観ると、さらに高画質なものを求める。PDPはその構造上、大画面になればなるほど画質でもコストでも優位になる。プラズマテレビは全世界的に需要が同時に立ち上がっており、2008年度には最低でも1000万台を超える。当社はPDPを戦略事業として部材開発から完成品までの一貫生産を行うことで、高品質化とコスト競争力を追求している。プラズマテレビは日本が誇る最先端のキーデバイス。協業では、プラズマ市場をグローバルに展開することで両社の意見が一致した。両社の強みを提携に生かし、モノ作り日本の復活に貢献していきたいと思っている」と説明する。
協業はいつ、どちらから提案されたのだろうか?
「昨年の暮れに、われわれ(日立)の方から持ちかけた。PDPが素晴らしいというのは一般的にも認めてもらえているだろうが、もう少し両社のいいところを持ち寄ろうということで(協業を)提案した」(日立・庄山社長)
ただし、プラズマテレビ製品の分野では、両社はライバル関係でもある。協業によって両社の製品は同じようなものになってしまい、競争力が失われるということはないのだろうか。
「今回の協業では、使われている部品や資材など(差別化とは直接関係ない)コスト面で協力していく考え。両社が有する生産設備/技術/収益部分(どこで儲けるか)などは違うため、(協業しても)十分に競争原理は働くと思っている」(庄山社長)
両社の協業の背景には、巨額の投資を行ってPDP生産能力を増強している韓国メーカーに対して、コスト面で対抗していくためという一面がある。また、これまで30インチ付近で住み分けられると思われていた液晶テレビが、大型化によってプラズマの市場とオーバーラップしてきたことも見逃せない。
「マーケットでは、美しさや大きさとともに“安さ”が要求されている。プラズマで日本を代表する2社が組めば、もっとよくなる(コストダウン)という協業。本当に大型テレビに向いているのは、自発光型のPDP。現在、デジタル家電がやや生産調整に入っている感があるが、今夏ぐらいからまた復活し、今後も発展していくと思っている。成長市場で勝つために、できるだけコストは下げなければいけない」(庄山社長)
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