ホームシアターを楽しむための「AVアンプの選び方」:劇場がある暮らし――Theater Style (4/4 ページ)
ホームシアターで音の中心となるのが「AVアンプ」。安価なシアターセットから単品で50万円を超えるものまで多様な製品があるが、何が違うのだろうか? 自分に適したAVアンプを探す上で必要な情報をまとめてみよう。
ホームシアターセットからのステップアップ
ホームシアターセットのAVアンプ機能を卒業して、音楽と映画を同じように楽しめるAVアンプを狙うならば、5万〜10万円程度の製品が狙い目だ。上記に挙げたようなHDMI端子や映像のアップコンバートなどとは無縁だが、今後もS/PDIF音声端子やコンポーネント(D端子)映像信号は使われていく。DVDやデジタルチューナーのハイビジョン番組を楽しむ上では、あまり不満は出てこないだろう。サラウンド音声フォーマットなどの進化も現在は一段落している。
AVアンプは10万円以下のエントリークラス以外に、実売で15万〜20万円前後の中級機、40万〜60万円前後の上級機がある。スピーカーなども買い換え、本格的に音響システムを構築しようと思うならば中級機以上を勧めるが、そこまでこだわらないのであればエントリークラスでも十分なステップアップになるだろう。
5万〜10万円となると、エントリーモデルの中では高価な製品となるが、売れ筋の価格帯だけあってコストパフォーマンスに優れた製品が多い。ただしエントリーモデルでも下のクラスになると、接続できる機器数が限られ、また電源など主要なコンポーネントのコストダウンが激しくなるため、音質面では十分な満足が得られないかもしれない。
またこのクラスではTexas Instrumentsのデジタル増幅ICなどを用いたデジタルアンプを採用している製品も多い。デジタルアンプはある程度低価格で電源が貧弱でも、パワフルにスピーカーを駆動でき、透明感のある音が出る上、コンパクトに仕上がるというメリットがある。だが一方で、ノイズの抑制が難しく、振動に敏感といった弱みもある。全く音の方向が異なるため比較は難しいが、完成された技術であるアナログアンプにも良い面はある。
デジタル/アナログといった方式にこだわるのではなく、結果としての質や、求める機能に応じて製品を選ぶことを心がければ、ニーズにピッタリ合ったAVアンプが見つかるはずだ。
関連記事
- ハイビジョン録画で楽しむホームシアター
ホームシアターを構築すると、大画面で威力を発揮する「ハイビジョン放送」に興味が出てくる。今回のシアタースタイルは、ホームシアターでハイビジョン放送を楽しむための“基本中の基本”をまとめてみた - プロジェクター使いこなし〜スクリーン/投影サイズ/明るさの微妙な関係
フロントプロジェクターは、環境や設定によって画質が大きく変化する。ちょっとしたセッティングの違いで、より好ましい映像を得られるかもしれない。今回はプロジェクターを設置する上での基礎的な要素について考えてみよう。 - ホームシアターにおける「サラウンドの基礎知識」
ホームシアターでは映像ばかりに目が行きがちだが、“音”の要素というのが実はとても大きい。今回のTheater Styleは、5.1チャンネル環境を整え、自然な音場感を楽しむためのサラウンドの基礎知識を考えてみよう。 - “リビングシアター”構築のポイント
リビングルームでホームシアターを楽しむには、いろいろ気をつけなければならない点がある。ごく普通のリビングルームをシアターに仕上げるポイントや機器の使いこなしについて、「デジタル閻魔帳」でおなじみの麻倉怜士氏と話をしてみた。 - ホームシアターを始める人のための「スクリーンの“いろは”」
ホームシアターで欠かせないスクリーン。種類や生地素材によって映像の見え方や使い勝手が大きく左右されるほか、プロジェクターの高性能化などでその選び方も変化してきている。スクリーン最新事情や正しい選び方を、専業メーカー・キクチ科学研究所に聞いた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.