直接録画&追記もできるDVD-R DL――パイオニア「DVR-530H」を試す(後編):レビュー(2/2 ページ)
パイオニアのDVDレコーダー「DVR-530H」の注目点は、やはり世界初のDVD-R DL対応。番組のダビングやダイレクト録画など、2層メディアであっても通常のDVD-Rと同様の扱いが可能になっている。後編では、同機のDVD-DLサポートをじっくり検証していきたい。
DVD-DL対応とともに採用されたのが、新しい長時間録画モードだ。従来はDVDメディア(とくに断りがない場合は1層メディアと思ってほしい)に約8時間録画できる「SLP」モードがもっとも長時間だったが、DVR-530HではDVDメディアに約10時間の「SEP」モードが追加され、さらにマニュアル設定の「MN1」では約13時間の録画が可能になった。MN1を使うとDVD-DLメディアに約24時間録画が可能になるわけで、そのインパクトは大きい。
単に録画時間を長くするのなら、ビットレートをさらに低くした録画モードを追加すれば良いが、重要なのは、その画質が実用的か? という点だ。パイオニアでは、新開発のMPEGエンコーダーを搭載し、低ビットレートでの画質を改善したとしている(関連記事)。実際、MN1のビットレートは約0.6MbpsとMPEG2としては恐ろしく低い値になるので、設計段階から低ビットレートでの画質を意識したエンコーダでなければ実用的な画質は得られないはずだ。
実際にDVDプレーヤーからのAV入力で録画を行って見たが、想像していたほど悪くはない。動きの激しいシーンではモスキートノイズが若干気になるが、ブロックノイズは気にならない。EP、SLP、SEPモードなどと比較しても大きく破綻した印象は受けないし、ぱっと見の解像感も十分確保されている。他社製品の中には、SEP/SEPに相当する録画モードでブロックノイズが目立ち、またノイズリダクションが効き過ぎていて閉口したこともあったが、それらに比較するとMN1は随分“頑張っている”印象だ。絵作りの上手さといえるかもしれない。
2パスプロダビングの効用
このほか、画質面の機能強化という点では、DVDメディアに3.5時間録画可能な録画モードまでD1解像度(720×480ピクセル)を確保するように変更されたこと、MPEG2上限の15Mbpsで録画する「XP+」モードの追加、さらに録画時に動きの情報などを記録しておき、DVDへの再エンコードダビング時により最適なビットレート配分を行う「2パスプロダビング」機能などが挙げられる。なお、XP+モードで録画した番組は、DVDビデオ、DVD-VRともに規格外となるため。そのままDVDメディアにダビングすることはできない。
ダイレクトにSP/LPモードに録画したもの、XP+モードで録画してDVDメディアへSP/LPモードで再エンコードダビングしたものを比較してみたが、どちらも録画モード相応の画質といった感じで、再エンコードで情報量は大きく失われた印象は受けない。XP+モードを使うことで、確かに再エンコードによる画質の劣化は最小限にとどめられそうだ。ただ、再エンコードしたほうは少々色のりが浅くなる傾向があり、好き嫌いが別れそうだ。
「DVR-530H/555H」は、従来モデル「DVR-525H」と比較して機能の強化、改善点が非常に多く、まさにフルモデルチェンジという印象を受ける。DVD-DL対応や長時間録画モードの追加といった分かりやすい強化点はもちろん、前回取り上げたユーザーインタフェースの改善も大きい。他社製品からの買い換えや買い増しでも違和感なく使えるはずだ。
また、画質の面でもう1つ注目したいのが、上位モデルの「DVR-555H」が普及機ながらゴーストリダクションチューナーを搭載したこと。500番台が搭載してきたのだから、間違いなくメインストリームの600番台にも搭載になるだろうし、他社製品への影響も大きいと思う。
現在、PC録画環境ではゴーストリダクションチューナーは当然の機能となっており、この機能の不在はPCユーザーが民生機の普及モデルに移行しにくい1つの理由になっている。他社も含め、普及モデルへのゴーストリダクションチューナー採用のきっかけになることを期待したい。
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