ヒネリの効くUSB端子搭載――三洋「ICR-S250RM」:レビュー:ビジネスに使えるICレコーダー(3/3 ページ)
三洋電機が2002年秋に発売した「ICR-B80RM」は、ボイスレコーダーで初めてMP3を採用し、PCのUSBポートに直接接続できるインタフェースを持つエポックメイキングな製品だった。その直系といえる「ICR-S250RM」は、どのように進化しているのだろうか?
S250RMはUSBストレージクラス対応のため、PCに接続すると大容量メモリとして認識される。録音したファイルはドラッグ&ドロップでPCにコピーして、「Windows Media Player」などで再生可能だ。このため製品パッケージにはPC用の再生ソフトがバンドルされていない(Windows 98/98SE用のドライバは同梱)。
再生ソフトがないのは残念だが、MP3の場合はあまり困らない。Windowsなら、定番の「おこしやす」、Mac OSなら「Listen&Type X」といったフリーウェア/シェアウェアがMP3をサポートしているからだ。これらのソフトを使うと、キーボード操作で「再生」「一時停止」や「再生速度の変更」といった操作が可能になる。テキストに起こしている間、キーボードから手を離す必要がないのは非常に便利だ。
音楽再生機能は機能は充実
三洋電機は、以前からICレコーダーでの音楽再生に積極的だったが、S250RMも例外ではない。MP3とWMAの再生をサポートしており、PCに接続して内蔵メモリの「MUSIC_IC」フォルダに楽曲ファイルを入れるだけで再生可能になる。再生できるファイルはMP3の場合で16-192kbps、WMAは32-160kbps(DRMは非対応)。もちろん、前の曲や次の曲への移動(スキップ)やリピート再生、ランダム再生なども行える。
また「MUSIC_IC」フォルダの直下にフォルダを作成すれば、アルバムやアーティスト毎に分類することもできる。ただし、ディスプレイには曲名やID3タグは表示できないから、楽曲ファイルが多いと、お目当ての曲を探すために再生とスキップを多用することになるかもしれない。
特定の曲を確実に再生したいなら、プレイリストを作っておくべきだ。S250RMは、m3u形式のプレイリストをサポートしており、エディタなどで楽曲ファイルのパスを記述し、保存したテキストファイルの拡張子を「.m3u」に変えて楽曲フォルダに放り込んでおけばいい。パスは「F:\MUSIC_IC\曲名.mp3」となる。
このほかにも、「POP」「ROCK」「JAZZ」という3種類のプリセットイコライザーや、低音を強調する「BASS」など、ボイスレコーダーの“オマケ”というには十分すぎるほどの多機能ぶり。録音がメインだが、音楽も聴きたいという人に適している。
家電量販店のICレコーダーコーナーで、店員に「オススメ商品」を訊ねると、三洋電機の「DIPLY TALK」シリーズを挙げるケースが多い。理由は「音質と使い勝手がいいから」。事実、周囲を見渡してみると、ICレコーダーのヘビーユーザーである記者や編集者の中でも三洋ユーザーが目立つ。これは、ICR-B80RM以来のMP3対応とPCダイレクト接続が評価された証拠だろう。
実際、試用した「ICR-S250RM」は、普及価格製品という限界はあるものの、その中でベストに近い機能を持たせた製品だと思う。PCダイレクト接続はもちろん、ジョグスイッチによる操作性やスマートなデザインも二重丸だ。
あえて難点を挙げるなら、やはり録音時間だろう。SHQ(ステレオ)モードで2時間10分という数字はいかにも少ない。もちろん、こまめにPCに接続してファイルをバックアップすれば困らないという意見もあるだろうが、楽曲ファイルをいくつか入れると、それだけでメディア容量を圧迫してしまう。またライバルのオリンパス「V-20」に録音時間で明らかな差を付けられてしまっただけに、改善を望みたいところだ。
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