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コラム

フィルムで撮る本物のパノラマ(1/4 ページ)

デジカメ全盛で、銀塩カメラは存在価値がなくなってしまったように見える。だが、それは違う。映像にとってデジタル化のメリットはプロセスが楽になったということだけで、アナログでもそれを利用すればいいだけなのだ。今回はそれを証明する“フィルムで撮れる本物のパノラマ写真用カメラ”を紹介しよう。

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 ゴールデンウィーク明けの月曜日である本日、筆者の連載は100回目を迎えた。筆者の担当は1カ月も前から「なんか記念イベントでもやりませんか?」と持ちかけてきたきた割には、それ以降なんの音沙汰もなく、無為に100回が過ぎ去ろうとしている。筆者の担当は局長とかいう肩書きが付くそれなりにエラい人間らしいのだが、人の上に立つ人間がそれでいいのかと小一時間……。

 そんなわけで、今回のコラムは筆者が勝手に100回を記念して、筆者が最近凝っているパノラマカメラについてお話ししよう。

パノラマカメラ「HORIZON」

 パノラマカメラとは読んで字のごとく、パノラマが撮れるカメラのことである。かつて銀塩カメラでは「パノラマ切り替え」なるものが付いたカメラもあったが、あれは単に上下をマスクして切るだけで、実際は広角で写るわけでもなんでもない。やはりギュギュッと広角で撮れてこそ、パノラマなのである。

 デジカメでもパノラマ撮影機能を持つものがある。自分を軸にして横方向に数枚撮影していき、後処理で横につなぐという方法である。以前筆者が持っていたカシオのデジカメにはこの機能が付いていて、ずいぶん遊んだものだった。

 だがこの方法の難点は、一度に広い範囲がガバッと撮れるわけではないので、ちょっとずつつなぎ撮りしていくうちに露出が合わなくなったり、最後の一枚でどうしてもおじさんがどいてくれなかったりといった不都合が生じるところだ。撮り始めたときに、最終形態が見えないのである。

 だがこの「首を振ってパノラマを撮る」という方法を、いっぺんにやってしまうフィルムカメラがある。それはスイングレンズと呼ばれる機構を持つもので、1シャッターのうちにレンズが首を振って、空間を横にスキャンするかのように1枚の中に収めてしまう。

 どういういきさつでこのカメラの存在を知ったのか、今となっては定かではないが、筆者はロシア製のスイングレンズカメラ「HORIZON 202」(以下、HORIZON)を手に入れた。そういう特殊カメラというのは結構値が張るのが相場だが、HORIZONは同じくロシア製のカメラ「LOMO」を販売するLOMOGRAPHY.SHOPで4万円弱で手に入る。本格的なスイングレンズカメラはもっと高いのだが、これぐらいの値段ならば入門として手頃である。

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ロシア製スイングレンズカメラ「HORIZON 202」。このイケてない付属ストラップも、一周回ってカッコイイと思えるようになったら本物だ

 HORIZONの構造は、驚くほど単純だ。センターには普通の小型カメラ程度のレンズがあり、このユニット全体が半円柱状の機構となっている。フィルムを巻き上げると、このレンズ部も左から右へと巻き上げられ、シャッターを押すと右から左にクルッと戻る。その瞬間に広角120度の画角をフィルムに撮影するというわけだ。

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半円柱状のレンズユニットが回転して広角撮影を行なう

 内部構造も見ておこう。内部にも正面と対称になった円柱状の出っ張りがあり、この丸みに沿ってフィルムを張り付けるように装てんする。つまり撮影される時点では、フィルムは湾曲しているわけである。

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