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搭乗できる巨大ロボット「LAND WALKER」が生まれるまでインタビュー(2/3 ページ)

「LAND WALKER」をご存じだろうか? 人が搭乗し、すり足ではあるものの、立派に2本の足で移動できる“巨大ロボット”だ。全高は3メートル40センチ。重量は1トン。ちなみに外観は思い切りアニメ調だったりする。早速、開発元の榊原機械を訪ね、巨大ロボ誕生の秘密を根ほり葉ほり聞いてきた。

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 「動力には、農業用機械や建設機械に使われている産業用エンジンを使っています。ただ、エンジンが直接足を動かすわけではありません。エンジンの回転を利用してオイルポンプを動かし、油圧駆動する仕組みです。移動速度は時速1.5キロと、子どもより遅いですけど」

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エンジンは座席の後ろにあり、いわばミッドシップ。背中にはマフラーの役目をする排気口がある(飾りではない)

 「本当はもう少し小さいエンジンを使ってもよかったのですが、大きめにしたことで、回転数を上げることなく、余裕をもって駆動できました。最大トルクが出るのは2800回転ですが、LAND WALKERの場合は1000回転ちょっとで動かすことができます。逆に回転数を上げても速く動くことはできません」

――足は全く上がらないのですか?

 「足は上がっていません。言葉で説明するのは難しいのですが……たとえばローラースケートを履いて、軸足を地面にしっかり押しつければ、もう片方の足は前に出せますよね? それを繰り返して進む。そういう仕組みです。

 左右の転回も同じです。ローラースケートを履いた足を前後にずらしておき、たとえば右足が前に出た状態であれば、体の向きを変えると“くるっ”と左側を向けますよね。左足が前にあれば右側ですが、それと同じだと思って下さい。

 ただし実際の動作では、横を向きたいときにどちらの足が前にあるか分かりませんから、逆側の足が前にあるときは下げることになります。そういった制御は、すべてコンピュータがサポートしますから、搭乗者が意識する必要はありません。

 シリンダーの位置決めもコンピュータの仕事です。油圧シリンダーは、出るか引っ込むかだけでなく、途中で止める必要がありますし、そうした繰り返しの制御は人よりもコンピュータのほうが正確ですから」

――プログラミングもすべて一人で?

 「いえ、コンピュータ制御は別の人に依頼しました。当時は社内にいた人ですが、その後独立してコンピュータ会社を設立しました。「LAND WALER」の側面に「P.A.Technology」と書いてありますが、それがその会社です。

 CPUは市販のものですが、基板は一から製作しました。将来的には遠隔制御もできる仕様になっています」

――外観は、思い切り趣味の世界ですが、デザインを担当したのは?

 「私です。ただ、イメージやスタイルよりも、まずは人が乗れることが優先でした。どういう姿勢で乗るかを考えて、コックピットに必要な空間のサイズを割り出しました。ですからデザインしたというよりも、むしろ“作れるものを作った”という感じですね」

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