PCを知り尽くした“PCバッグ”とは(2/5 ページ)
ノートPCを選ぶときは、機能、サイズ、重さ、価格などで選択幅がある。ならば、PCを入れるバッグも好みやTPOに合わせてもっと多様化していくべきなのではないだろうか? PCバッグを執拗に作り続けているソニーに話を聞いた。
ユーザーに支持されて事業になった
ソニー IT&コミュニケーションズネットワークカンパニー VAIO事業部門の平林 美由紀氏は、このバイオバッグの「そもそも」を語れる唯一の人物だ。彼女がこれら一連のバッグの設計を担当した、いわゆる生みの親である。
「これらのバッグの発端というのは、バイオ505ノートが発売になったときに、ソニーマーケティングのほうでお客様プレゼントとして何かやりたい、ということだったんですね。私は以前からバッグをやりたくて上司にも言い続けていたんですが、それがきっかけででできたのが、一番最初のスマートバッグだったんです」(平林氏)
「これはバイオ505ノートを買っていただいたお客様限定ということで、505人分。これがとっても評判が良かったので別売することになったんですが、売るんだったらキャンペーンのものと一緒じゃダメだよねってことで、ショルダーを左右に付け替えられるように改良したりしました」(平林氏)
市販されたスマートバッグはショルダーの材質が柔らかく、担いでいても肩にあまり重さを感じなかったのを覚えている。またこれに付属していたポーチは、ケーブルや外部ドライブなどの小分けしておくのに便利で、筆者は今でも愛用している。ポケットを沢山付けるのではなく、ポーチというアイデアがなかなか秀逸だった。
「リュックだとどうしても内部で荷物がばらばらに落っこちてしまうのを、なんとか対策したくて。でも開けるところが1カ所しかないので、それをどう改善していくかという話になって、それならポーチでそれぞれ必要なモノを分けていけばいいんじゃないかと。製品として最初だったので、お得感をという狙いもありましたね」(平林氏)
これまで平林氏が設計してきた多くのバイオバッグは、どれもPCが入っていることを感じさせないデザインが特徴となっている。そこが「吊るし」で売られているPCバッグとは決定的に違うところだ。
「バッグのデザインは当社のデザインセンターで行なうんですが、いわゆるバッグデザイナーというのはいないんですね。ですからデザイナーと一緒に市場を見に行って、最近のバッグはこういうところがいいとか、こういうフラップがいいとか話しながら、使い勝手など調べています。デザイナーも設計の話をしたり、設計もデザインの話をしたり。同じジャンルのPCバッグは全く見てないわけではないですけど、いわゆる普通のビジネスマンが買いに行くメーカーとか、ブランドのものを中心に見ています」(平林氏)
バッグのデザインといえば、吉田カバン(PORTER)とのコラボレーションが有名だ。今もVAIOとPORTERのダブルネームバッグは人気が高いという。しかしその関係を築いたのは、あるマシンのおかげでもあった。
「吉田カバンさんとのコラボは結構早くから行なってまして、最初のスマートバッグとほぼ同時タイミングぐらいからでした。たまたま吉田カバンさんにもバイオC1(PCG-C1)を使っている方がいらっしゃって、PORTERのバッグでもC1がピッタリ入るものがないということで、なんとなく試作では作っていたそうなんですね。そこで我々のやりたいという意志をお伝えしたところ、C1のバッグだったらいろいろ考えたい、とおっしゃってくれて。その当時吉田カバンさんではまったくコラボをやっていらっしゃいませんでしたから、普通だったらやっていただけなかったでしょう。最初はソニースタイル限定でしたので、店頭で販売するようになったのはもっと後のことなんですけど」(平林氏)
PCを守る新しい機構
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