“通信ならでは”のワンソース・マルチユース――4th MEDIAの事業戦略(2/2 ページ)
ぷららネットワークスとオンラインティーヴィは7月1日、IPベースの多チャンネル放送&VoDサービス「4th MEDIA」の事業戦略と次世代STB(セットトップボックス)の概要を明らかにした。また同時にイタリア「セリエA」の7チームの独占放送権を獲得したことを発表している。
新STBは、「4th MEDIAメタ」と呼ばれるメタデータをサポートしている点も新しい。各番組にメタデータを付加することで、EPGを利用した予約試聴や予約録画にくわえ、放送時間が変更された場合でも追随できる。さらに端末メーカーがGUIを拡大し、番組情報(メタデータ)と“紐づける”ことで、番組検索やコンテンツ間のリンク機能も提供できるという。
このほか、無線LAN導入時の通信安定性を向上させるため、誤り補正技術を導入。伝送中にパケットロスが発生しても、端末側でデータを復元できるという。新STBの提供時期は未定だが、「今秋には出したい。現在のSTBは売り切りのみだが、レンタル方式も検討していく方針だ」。なお、ハイビジョンコンテンツなどへの対応に関しては、次世代以降のSTBになる見通しだ。
「セリエA」人気チームの独占放映権を取得
コンテンツ面は、2006年がサッカーW杯の年であることから、サッカーを中心にテコ入れを図る。同日、同社がイタリア「セリエA」所属の人気7チームと2005〜2006以降の2シーズンにわたる放映権を取得したことが発表された。「これまでは“コンスタントに売れる”ことを目指してハリウッドのメジャー作品を中心に揃えてきた。しかし今後は、メディアとしての特色を出していきたい」。
放映権取得チームは、「メッシーナ」「レッチェ」「カリアリ」「ラツィオ」「フィオレンティーナ」「ジェノア」「トリノ」。うち5チームの主催試合に係る放映権については、日本国内における独占テレビ放映権となる。
ぷららは、ブロードバンド配信サービスの特性を活かし、生中継にくわえ、試合終了後のタイムシフト試聴や自社スタジオで編集したハイライト場面などをビデオ・オン・デマンドとして提供する方針だ。いずれも会員なら無料で試聴できる。
中岡氏は、「これらのコンテンツは、たとえばテレビ放送だけでは不可能で、VoDだけでも提供できないもの。いわば通信と放送が融合して、初めて実現するもの」としたうえで、国内の放送局に対して放送権をサブライセンスすることに関しても前向きな姿勢を示した。「できれば放送局と一緒に提案したい。ワンソース・マルチユースの新しいモデルだ」(同氏)。
同社はこのほかにも、中田英寿選手が所属するフィオレンティーナが来日する「コカ・コーラ フィオレンティーナ ジャパンツアー 2005」の全試合を完全無料生中継(7月28日より)、また「AC ミラン」の専門チャンネル「Milan Channel」およびオランダプロサッカーリーグ「エールディヴィジ」主要3チームの試合映像に関する国内におけるVoD独占配信権を取得するなど、サッカーコンテンツを充実させていく。「これらのコンテンツ配信が黒字になることはない。しかし、方向性を明確にした上で独占的に配信するという姿勢を示すことで、ターゲットユーザーを確実に掴んでいきたい」。
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