東芝だけど「RD」じゃない――「カンタロウ」の実力を探る:レビュー(4/4 ページ)
東芝製なのに「RD」シリーズではないHDD+DVDレコーダーが登場した。“カンタロウ”こと「AK-G200」は、「トルミルカンタン」を冠して使いやすさを追求したレコーダーだ。多機能のイメージを持つRDの名をあえて排した同製品の使い勝手をチェックしていこう。
編集やダビングの機能はRDシリーズ譲りだ。編集はチャプターベースだが、フレーム単位で編集が可能。チャプターを削除することで部分カット編集も行える。ダビングも、HDDからDVDはもちろん、DVDからHDDへの高速ダビングやHDD間でのダビング(複製)も行える。機能的にはRDシリーズからとくに削られた部分は見当たらない。
もっとも、メニュー構成は大幅に変更された。ダビングは相変わらず編集機能の一部だが、メインメニュー上では「録画番組を編集する」「ダビングする」の2つのサブメニューに分離され、より分かりやすくなった。メニュー内の項目も、機能名ではなく、目的を示す名称に変わっている。
さらに、メニューでダビング元/ダビング先の組み合わせを選択するようになった。事前、もしくはダビングする番組の選択画面前に、ダビング元のドライブを選択する必要がなくなり、RDシリーズよりはずっと分かりやすい。ダビングは基本的に高速ダビングが基本で、高速ダビングはダビング先の容量が足りなくなると自動的に「ぴったりダビング」モードに切り替わる仕組みだ。「DVD-Video作成」を選択したとき、DVD-Rなどではファイナライズまで行ってくれる点も便利だ(これはRD-XS57/37でも共通だが)。
たとえばHDDの選択中に「DVD→HDDダビング」を実行すると、ダビング終了後にDVDが選択されたままになってしまうなど、RDシリーズのソフトウェアをベースに“別メニューを被せました”感が残る部分もある。ただ、予約録画に影響はないし、HDDに録画された番組を見るならAK-G200の場合は「HDD」ボタンを押すわけで、実害はないだろう。
懐の深さも持ちあわせる意欲的なエントリーモデル
AK-G200は、あくまでRDシリーズをベースにした製品だ。しかし、その操作性は大幅に変更され、間違いなく使いやすくなっている。実のところ、製品に触れる前は「RDシリーズの低価格機に別のメニューをポン付けした程度かな……?」などと考えていたのだが、期待は良い意味で裏切られた。
リモコンのデザインを刷新してボタンを減らしているが、その減らしたボタンの操作に対する動作が巧妙にできており、むしろRDシリーズよりも洗練されているとすら感じる。RDシリーズも簡易操作用のメニューを装備しているが、AK-G200の使い勝手の良さには及ばない。あえてケチをつけるなら、EPGは縦横を入れ替えたほうが(いわゆるラテ欄タイプ)とっつきやすいのではないだろうか。
また、一歩踏み込めばそこは紛れもなくRDの世界だ。ネットdeナビこそ省略されているが、編集機能も強力な部類に入るし、フォルダ機能も装備していて、家族で使用する場合も便利。またDVD-R/DVD-RW/DVD-RAMの3メディアへのダビングに対応しており、デジタル放送のムーブにも全メディアが対応するなど(ただしCPRM対応メディアが必要)、いかにもRD譲りの部分が多い。
250GバイトというHDD容量は、製品の位置付けを考えると過剰にも思えるかもしれない。ただし、「HDDにたくさん録画できる」という点はHDD+DVDレコーダーの基本かつ大きな魅力の1つだ。さらにいえば、「こまめにDVDメディアにダビングすればいい」という発想は、実はHDD+DVDレコーダーの使い方を理解していることが前提だし、そもそもそんなことを思いつく人はとっくにHDD+DVDレコーダーを購入しているはず。予備知識なしに店頭でHDD+DVDレコーダーを選択する人にアピールするという意味で、250Gバイトというチョイスは悪くない。もっとも特定販売店向けにはHDD容量を小さくした「AK-G100」という製品もあるようだが……。
一方、価格面はというと、今のところ安価な製品とはいえない。たとえばHDD容量こそ160Gバイトだが、W録を装備するなど機能面では大きく上回る「RD-XS37」や、同じ250GバイトでW録の「RD-XS46」(2004年冬モデル)など、機能面で上回る同社製品とあまり変わらないレベルだ。それでも、導入と操作の容易さと、機能面での懐の深さを併せ持つ傑作ではないか? と筆者は考える。
おそらく、この記事を読んでいる人自身は、RDシリーズのほうを選択するだろう。しかし、初めてHDD+DVDレコーダーを購入する人に勧めるなら“イチオシ”にできるのではないだろうか? カンタロウは、そんなDVD+HDDレコーダーなのだ。
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