ドルビーが考える“次世代ホームシアター”(1/2 ページ)
ドルビー日本支社が報道関係者向け説明会を開催し、次世代サラウンドフォーマット「Dolby Digital Plus」とMLP Losslessについて説明した。これら新フォーマットに対応するAVアンプは2006年から2007年初頭にかけて登場する見込みだ。
ドルビー日本支社は8月1日、新オフィスのお披露目を兼ねた報道関係者向け説明会を開催し、同社が提供する次世代サラウンドフォーマット「Dolby Digital Plus」(以下、DD+)とMLP Losslessについて説明した。同社統括ディレクター サービスマーケティング担当の松浦亮氏によると、2006年から2007年初頭にかけて、これら新フォーマットに対応するAVアンプが登場するという。
DD+は、Dolby Digitalなどの後継として将来主流になると見込まれるサラウンドフォーマット。従来のDolby Digitalが5.1chであったのに対し、DD+はモノラルから将来のDigital Cinema(映画館向け)を想定した最大14ch(13.1ch)まで拡張可能で、許容ビットレートも32k〜6Mbpsと幅広いのが特徴だ。これは容量の制約が少なく、クオリティの高さを求められる次世代光ディスクと、帯域が限られる放送用途の両方に適応させるため。また音質面では、圧縮効率の向上などにより「Dolby Digitalのモノラル96kbpsとDD+のモノラル32kbpsが同程度の音質になる」(松浦氏)という。
一方のMLP Losslessは、英Meridianが開発したロスレス音声圧縮方式で、ドルビーがライセンスと技術サポートを担当している(MLP=Meridian Losless Packing)。ch数などは異なるものの、DVDオーディオが「Packed PCM」という名称で採用している技術でもあり、その特徴は音質。「MLP Losslessは、原音への完全な復元が可能な音声圧縮方式だ。品質を極めたフォーマットといえる」(松浦氏)。
MLP Losslessは効率もいい。次世代ディスク用のMLPは最大8chで、従来の2倍近い18Mbpsのピークデータレートをサポートしているが、一般的な映画音声をMLP Losslessに変換すると、多くの場合でデータレートは平均1.5Mbps以下に抑えられるという。つまり、「CD-DAまたはdts 5.1ch程度のデータ量で、マスタークオリティの5.1chを実現できる」。
Dolby Digital | Dolby Digital Plus | MLP Lossless | |
---|---|---|---|
最大ch数 | 5.1ch | 13.1ch | 8ch |
ビットレート | 96k〜640kbps | 32k〜6Mbps | 18Mbps(ピーク) |
対応AVアンプは来年か再来年
これらのサラウンドフォーマットは、次世代光ディスクと同期する形で普及していくはずだ。実際、DD+とMLP LosslessはHD-DVDで必須、Blu-ray Discでもオプション設定されている(下表参照)。
- DVDビデオ/オーディオと次世代光ディスクの採用状況
Dolby Digital | Dolby Digital Plus | MLP Lossless | |
---|---|---|---|
DVD-Video | 必須 | ー | ー |
DVD-Audio | 任意 | ー | 必須 |
HD-DVD | 必須 | 必須 | 必須(※1) |
Blu-ray | 必須(※2) | 任意 | 任意 |
※2:Blu-rayはDVDビデオを上回る640kbpsまでサポート
ただし、対応するプレーヤーやAVアンプが登場したとき、既存製品とは接続方法が異なるようだ。たとえばDD+は、次世代光ディスクプレーヤーとデコーダ搭載AVアンプの間は、HDMIもしくはIEEE 1394で接続することになる。現在のDolby Digitalの伝送経路として主流になっているS/PDIFは不可。MLP Losslessのビットストリームも、やはりS/PDIFでは出力できず、「HDMIで出力される可能性がある」という。
もちろん下位互換性は確保する。たとえばDD+対応プレーヤーと既存のAVアンプをS/PDIF接続することは可能。もちろん、この場合はDolby Digitalの5.1chになる。気になる製品の登場時期について松浦氏は、「DD+デコーダー搭載のAVアンプは2006年か2007年初頭。MLP Lossless対応アンプも同時期になるだろう」と予想している。
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