太平の眠りを覚ます宇宙船? キヤノンDVDビデオカメラ「DC20」:レビュー(4/4 ページ)
キヤノンが満を持して投入するDVDビデオカメラ「DC20」。ハン・ソロが操るあの高速宇宙船を思わせる魅力的なデザインの同機は、停滞気味だった同市場に活を入れる1台になりそうだ。
冒頭で性能は目立ったものではないと書いたが、あれはあくまでもスペック上の話だ。実際の撮影ではなかなかの品質を見せてくれた。MotionJPEGとMPEG-2と圧縮形式が異なるため、ノイズの出方にはもちろん差があるが、全体には「IXY DV M5」と似た傾向。RGB原色フィルターとDIGIC DVエンジンの採用で、しっかりした色表現と明瞭な輪郭が特徴だ。静止画も最大1632×1224ながら、縮小しなくても十分に鑑賞に堪えるため、結果として平均レベル以上の画質だといえる。
試作機ゆえかもしれないが、若干気になったのは、ゆっくりとしたズーム操作にもかかわらず、ピント合わせが追従してこないケースが見られたこと。また、長時間使用していると、ボディ全体に熱を帯びてきて、特に底部はかなり熱くなる。
DVDメディアゆえ、ビデオキャプチャや編集にも面倒な作業は必要ない。USB接続すれば、DVDボリュームとしてPC上にマウントされるし、あるいは、DVD/HDDレコーダーでDVDからHDDへダビングすれば簡単に編集ができる。付属のDVD作成ソフトウェア「Roxio MyDVD for Canon」との組み合わせであれば、本体上のボタンで「DC20」からPCのドライブ内のDVDメディアへのワンタッチダビングにも対応する。もちろん、シーンを指定の位置で2つのシーンに分割したり、プレイリストの作成といった程度の編集であれば、本体での処理も可能だ。
正直言って、これまでのDVDビデオカメラには、まったくといっていいほど興味を持っていなかったのだが、この製品には心惹かれるものがある。HDVカメラ「HDR-HC1」は(対象を作品的に)“撮りたい”という衝動にかられたが、「DC20」には“持ち歩きたい”という欲求をおぼえる。常に携帯して、出合った風景や人物を、動画や静止画のスナップショットとして収めたくなった。
静止画撮影サンプル
カードへの静止画撮影は、解像度は1632×1224/1280×960/640×480、画質はスーパーファイン/ファイン/ノーマルから選択可能。設定はファンクションメニューで行える。画像はいずれも1632×1224/スーパーファインで撮影したもの。「IXY DV M5」とはCCDが異なるので、2304×1736での撮影には対応していないが、ノイズが少なく、輪郭の立った映像を映し出してくれる
動画撮影サンプル
DVD動画モードでの撮影。「DC20」ではメモリカードへの動画記録には対応していない。「IXY DV M5」と比較すると、静止画でもやや色の濃密さに欠ける印象はあったが、動画ではそれがさらに顕著になる。CCDの違いもあるが、MPEG-2圧縮による影響もあいまっての結果だろう。ただ、「IXY DV M5」は製品版だったが、この「DC20」はあくまでも試作機という点は記しておく。
同じアングルで静止画と動画を撮影。動画記録時の有効画素数は約123万、静止画記録時は約200万となる。まったく同じポジションからワイド端で撮影したのだが、CCDの有効エリアの差により、画角が変わってしまうのは、ほかの多くのビデオカメラ製品でも同じ。
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