“体を乗っ取るリモコン”から“こびとさん”まで――i-tokyo 2005:っぽいかもしれない(5/5 ページ)
東京の「日本科学未来館」で、「インタラクティブ東京2005」(i-tokyo)と「第13回国際学生対抗バーチャルリアリティコンテスト(IVRC)予選大会」という2つのイベントが開催された。これにいってきた。
机の上に紅茶の缶がおいてある。しばらく見ていると、それがいきなり“ずずずっ”と動き出すのだ。
「なんで動いているんですか?」
「こびとさんです」
というわけで、この缶はこびとさんが押しているのだ。わきには小さなディスプレイがあって、そこには実画像と一緒にこびとさん(3人いる)も映っているのだ。このこびとさんがかわいい。一生懸命うんしょうんしょと押しているのだ。こっちが缶を押し返すと、もっとがんばって押すのだけど、そのうち負けて後ろ向きにひっくり返ってじたばたする。かわいいよぉ。
見ていて思ったのだけど、2年前だったら、こびとさんを表示するのにヘッドマウンテッドディスプレイ(HMD)を使って、Mixed Realityをしたと思うのだ。でも、そうしちゃたら、たぶんかわいくない。この展示では、小さなディスプレイを見たあと、本物の(生の)缶の風景を見ると、そこにこびとさんがいるのが感じられるようになるのだ。この、Virtualな風景とRealな風景を行ったり来たりするってのがHMDでは大げさになる。
そうなのだ。HMDは大げさなのだ。こびとさんを表示しているディスプレイは、木枠を貼付けたりすることで、メカっぽさを一生懸命消そうとして、日常の中のVRを実現しようとしている(これは、さっきのゴブリンもそう)。HMDではそうはいかない。どうしても構えてしまう。
かつては夢の世界への入り口アイテムだったHMDが、いまでは現実とVirtualを仕切る壁に感じられるようになってしまった。VRの文化は、ここまで成熟したのだ。
関連記事
- “アートするテクノロジー”を見てきたのだ
- 筋肉で語り、足で対話する最新インタラクティブ事情
- 3D映像を綺麗にするのは“アナログ”と“力わざ”?
- ディスプレイを超える3D
- 霧のスクリーンからケンカするコンピュータまで〜「IVR2004」
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.