“本格ビデオカメラ機能”を手のひらに──松下 SDカードムービー「SDR-S100」:レビュー(3/3 ページ)
松下電器産業の“SDカードムービー”「SDR-S100」は、3CCD/光学式手ブレ補正/光学10倍ズームといった“本格的なビデオカメラ機能”を、極限までに小さなサイズへ収めた注目機だ。
また、メニュー画面のセットアップで「クイックスタート」を「入」にしておけば、レンズカバーの開閉動作はせず、単に省電力(液晶画面オフなど)の待機状態となり、撮影開始までの待ち時間が1.5秒に短縮される。ただ、通常の電源連動(クイックスタート切)でも、液晶オープンから撮影開始までは3〜4秒と十分に速いので、よほどのケースでなければ、特に利用しなくてもかまわないだろう。
動画の撮影品質は、解像感こそ平均的なレベルにとどまるものの、輪郭はくっきりと描き分けられ、破綻などもほとんど見られない。しかも、松下電器産業ならではの、自然かつ濃厚な色のりは健在だ。動きもボケが少なく、滑らかに捉えてくれる。撮影モードはやはりXPが望ましいが、SPでもなんとか我慢できるレベル、LPはかなりつらい。まあ要するに、DVDレコーダーでの画質モード選択と同様に考えればいい。
手ブレ補正は当然ながら、見た目に効果抜群とはいかないものの、映像に安定感を与える働きはしている。また、静止画撮影時にも手ブレ補正は有効だ(MEGA OISモード)。
静止画モードでの記録サイズは2048×1512、1280×960、640×480、1920×1080の4モードが用意され、各々で圧縮レベルを2段階に設定できる。HDTVと表記される1920×1080のみ16:9画像で、ほかはすべて4:3だ。最大サイズは2048×1512だが、見た目の解像度は1920×1080とさほど変わらない印象で、しかも内蔵モニターがワイド画面ということもあり、よほど4:3映像にこだわるのでないかぎり、HDTVモードを選べばいいだろう。
撮影された映像は、動画撮影時にもまして色が鮮明になり、細かい部分もしっかりと塗り分けてくれる。ただ、1920×1080でも等倍で表示させると粗やノイズが目立つので、実際に使用する際には半分程度(960×540)に縮小処理したほうがよさそうだ(2048×1512も同じく)。
この「SDR-S100」の競合製品はDVカメラやDVDカメラとなるわけだが、それ以外にも数多く挙げられる。ビクターのEverioシリーズは、記録メディアを着脱可能な1インチHDD(要するに、MicroDrive)から内蔵型1.8インチHDDへと展開を広げているし、東芝でも0.85インチHDD内蔵のビデオカメラ「gigashot V10」を発表した。また、圧縮方式にMPEG-4を採用しつつ、640×480ピクセル/30fpsで動画撮影が可能なデジタルスチルカメラも、現在ではなんらめずらしくない。品質的にはまだまだだが、携帯電話の動画撮影性能も向上していくに違いない。
そんななかで、「SDR-S100」の優位点はというと、やはり、3CCD、光学式手ブレ補正、光学10倍ズームといった“本格的なビデオカメラ機能”を極限までに小さなサイズへ収めたところ、というほかない。もちろん、さらに高性能なビデオカメラもあれば、よりコンパクトなサイズで動画撮影が可能な製品も存在する。しかし、その両方を兼ね備えた製品としては、「SDR-S100」が頭ひとつ抜け出ているといっていい。
作例
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