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コラム

究極の取材ツールを探す小寺信良(3/3 ページ)

メモも取りたいが自分も発言したい。そんなシーンで便利なのが小型レコーダー。ビジネスシーンで活用する人も増えているようだが、取材ツールとして筆者が望む理想の小型レコーダーを考えてみた。

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理想を言えば…

 結局のところ、筆者は未だにXacti C1を使い続けている。いろいろ試してはいるのだが、なかなかこれに変わる機器が出ないからだ。もっとも昨今のムービーデジカメはあくまでもホビーユースで、ボイスレコーダーのようなビジネス向け製品とはターゲットが違うからでもある。

 だが筆者は、ビジネス向けビデオレコーダーというのは、実は穴場なのではないかと思っている。ムービーデジカメが今後どれぐらい伸びていくのかはわからないが、昨今は台湾製の格安MPEG-4記録ムービーデジカメも日本に大量に入ってきている。いくら国内製品が質がいいとは言っても、価格競争になりがちなホビー分野ではキビシイだろう。

 一方ビジネスレコーダーはホビーユースよりも目的がはっきりしているので、うまくハマれば安定した売り上げが見込める分野だ。以下筆者が理想とするビジネスユースのビデオレコーダーの条件を挙げてみよう。

1. ワイド端は28ミリ

 レンズのワイド端は、35ミリ換算で28ミリぐらいは欲しい。カメラとして遠くが撮れるよりも、近い場所を広く撮れるほうが重要だ。ズーム倍率は、5倍ぐらいあればいいだろう。

2. 動画静止画同時撮り

 動画の撮影中に高解像度の静止画が撮影できて、しかも撮影中に動画の録画が止まらないというのは最低条件だ。動画の映像が静止したり黒くなったりするのは仕方がないとして、音声だけは連続で録画され続ける必要がある。

3. 連続撮影120分

 最近のムービーデジカメはスタイルを気にしてか、拡張バッテリーが付けられないものが多い。だがビジネスユースでは、2時間コースがデフォルトなので、これぐらいは1バッテリーで録画できた方がいい。あるいは内部に別の充電式バッテリーがあって、メインバッテリー交換時の30秒〜1分ぐらいなら録画が止まらないといった機能でもOKだ。またすばやく交換できるように、バッテリーにフタなどはいらない。もちろんメディアや録画モードも、120分撮影に対応できるようになっている必要があるのは言うまでもない。

4.高音質

 デジカメ派生型のムービーカメラで見落とされがちなのが、集音性能だ。基本的には人の話を録画するわけだから、マイクの性能やリミッタ、オートゲインといった性能は既存のボイスレコーダー並みであることが望ましい。

5. 三脚穴は必須

 一般のビデオカメラではあまり三脚を使うケースは少ないようだが、ビジネスユースではテーブルの上にミニ三脚で角度固定して撮影する必要がある。できれば固定用の足も本体に内蔵できるといいのだが。

6. 首から提げても正面を向く平形

 事件は会議室で起こっているわけではないように、記録の機会も会議室の中だけとは限らない。よくあるのが、展示や施設を案内して貰いながら説明を聞く、というケースだ。この時にずーっとカメラを持ち続けていると、片手がふさがってしまってどうしようもないことがある。そこで、よく社員証を首から提げるようなスタイルで、ネックストラップでカメラを吊っても、レンズが正面を向いているような作りだと便利だろう。また背面にクリップがあって、胸ポケットに留められるようになっているのもいい。

 こうして条件を挙げてみても、決して無理難題を述べているわけではなく、それぞれの条件ならば満たしているデバイスは存在する。ようは既存の技術をどの用途へ向けて舵取りしていくかだけの問題であろう。

 最近はデジカメの利益率も低下しており、各社ともなんとか頭1つ抜けたヒット商品が欲しいと必死になっている。こういう分野の製品に興味のあるメーカーさんがあったら、ぜひアドバイスしてあげたいと思っているのだが、どうだろうか。


小寺信良氏は映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。

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